ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
目の前で大切な愛娘の濃厚なキスを見せつけられ連れて行かれた叔父は、愕然とその場で膝を折った。
「そ、そんな ……ソフィア」
その横でふらつき倒れそうになる叔母をカルロが支えている。
その様子を見ていたエスター様は、言いにくそうに叔父に声を掛けた。
「僕もシャーロットを連れて行きたいのですが…… ああ、申し訳ないキチンと挨拶をしていなかった」
彼は叔父達の前に立ちお辞儀をした。
その立ち居振る舞いの美しさとエスター様の美貌に叔父達はそのまま固まった様になり見惚れている。
「ヴィクトール・レイナルド公爵の息子、エスター・レイナルドと申します。シャーロット・ディーバン令嬢と婚姻を結ばせて頂きたく伺いました」
「へっ? レ、レイナルド公爵⁈ 」
レイナルド公爵と聞き、叔父達はポカンと口を開けて驚いている。
「そ、そうだ……竜獣人はレイナルド公爵とガイア公爵だけなのだわ……はっ……」
さっき、印を付けられことを怒った叔母は慌ててエスター様に頭を下げた。
「先程は申し訳ございません、何卒お許しを!」
エスター様はそんな事は構わないと優しく言って、それよりも婚姻の返事を聞きたいと話した。
「も、もちろんめでたい事なので是非と申し上げたいのですが、何故私共はしがない男爵なのです。シャーロットを嫁に出す支度金すらありませんので……」
叔父は遠回しに結婚したければ金を寄越せと言っている様だ。
それを分かっているのか、エスター様は頷き告げた。
「大切なお嬢さんを頂くのです。支度金など必要有りません。それより、こちらは少々困っておいでだとお伺いしております。差し出がましいようですが、公爵家の方から多少の援助もさせていただこうかと考えているのですが」
「なっならば是非! 是非ともシャーロットを貰ってやってください」
叔父達は援助と聞いてお金が手に入ると思ったのだろう、顔の綻びが止まらなかった。
「ディーバン男爵殿、出来れば今日、このままシャーロット嬢を連れて行くことをお許し願えませんでしょうか?」
美しい少年の意志の強い青い目で見つめられ、叔父達は大きく何度も頷く。
「ぜっぜひお連れください!……その……シャーロット……今まで済まなかった」
言葉では私に謝りながらその視線はエスター様に向いていた。
私達はちゃんと謝っていますよと言わんばかりだ。
叔父達はお金と権力に弱いのね……と改めて思った。
エスター様はスッと騎士の礼をとる。
「それでは、失礼します」
これまでに見ない程の満面の笑みを浮かべた叔父達に見送られ、私は男爵邸の玄関をエスター様に手を引かれ出て行く。
玄関の扉を閉めると、彼はボソリと呟いた。
「今日のところはああ言っておくけど……」
「……え?」
エスター様は何でもないよ、と含みのある笑顔をみせる。
( うわぁ…… そんな笑顔もカッコいい……)
彼はこれから一緒に公爵邸に行こう、と言ったが、馬車は見当たらない。
「あ……此処へはレオンの馬車で来たんだ」
レオン、先にに帰ったな……、どうしようか、僕が抱いて行こうかな……と、エスター様が言っているそばから、二台の馬車が近づいて来た。
その馬車を見るエスター様の顔が途端に険しくなる。
「シャーロット、僕の後ろにいて……離れないで」
そう言いながら、私を庇う様に前に立つエスター様の声には緊張の色が見えた。
「そ、そんな ……ソフィア」
その横でふらつき倒れそうになる叔母をカルロが支えている。
その様子を見ていたエスター様は、言いにくそうに叔父に声を掛けた。
「僕もシャーロットを連れて行きたいのですが…… ああ、申し訳ないキチンと挨拶をしていなかった」
彼は叔父達の前に立ちお辞儀をした。
その立ち居振る舞いの美しさとエスター様の美貌に叔父達はそのまま固まった様になり見惚れている。
「ヴィクトール・レイナルド公爵の息子、エスター・レイナルドと申します。シャーロット・ディーバン令嬢と婚姻を結ばせて頂きたく伺いました」
「へっ? レ、レイナルド公爵⁈ 」
レイナルド公爵と聞き、叔父達はポカンと口を開けて驚いている。
「そ、そうだ……竜獣人はレイナルド公爵とガイア公爵だけなのだわ……はっ……」
さっき、印を付けられことを怒った叔母は慌ててエスター様に頭を下げた。
「先程は申し訳ございません、何卒お許しを!」
エスター様はそんな事は構わないと優しく言って、それよりも婚姻の返事を聞きたいと話した。
「も、もちろんめでたい事なので是非と申し上げたいのですが、何故私共はしがない男爵なのです。シャーロットを嫁に出す支度金すらありませんので……」
叔父は遠回しに結婚したければ金を寄越せと言っている様だ。
それを分かっているのか、エスター様は頷き告げた。
「大切なお嬢さんを頂くのです。支度金など必要有りません。それより、こちらは少々困っておいでだとお伺いしております。差し出がましいようですが、公爵家の方から多少の援助もさせていただこうかと考えているのですが」
「なっならば是非! 是非ともシャーロットを貰ってやってください」
叔父達は援助と聞いてお金が手に入ると思ったのだろう、顔の綻びが止まらなかった。
「ディーバン男爵殿、出来れば今日、このままシャーロット嬢を連れて行くことをお許し願えませんでしょうか?」
美しい少年の意志の強い青い目で見つめられ、叔父達は大きく何度も頷く。
「ぜっぜひお連れください!……その……シャーロット……今まで済まなかった」
言葉では私に謝りながらその視線はエスター様に向いていた。
私達はちゃんと謝っていますよと言わんばかりだ。
叔父達はお金と権力に弱いのね……と改めて思った。
エスター様はスッと騎士の礼をとる。
「それでは、失礼します」
これまでに見ない程の満面の笑みを浮かべた叔父達に見送られ、私は男爵邸の玄関をエスター様に手を引かれ出て行く。
玄関の扉を閉めると、彼はボソリと呟いた。
「今日のところはああ言っておくけど……」
「……え?」
エスター様は何でもないよ、と含みのある笑顔をみせる。
( うわぁ…… そんな笑顔もカッコいい……)
彼はこれから一緒に公爵邸に行こう、と言ったが、馬車は見当たらない。
「あ……此処へはレオンの馬車で来たんだ」
レオン、先にに帰ったな……、どうしようか、僕が抱いて行こうかな……と、エスター様が言っているそばから、二台の馬車が近づいて来た。
その馬車を見るエスター様の顔が途端に険しくなる。
「シャーロット、僕の後ろにいて……離れないで」
そう言いながら、私を庇う様に前に立つエスター様の声には緊張の色が見えた。