ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
「よう、起きたか」
「ぴゃっ!」
突然後ろから声をかけられ変な声を出してしまった。
振り向くと私に声を掛けた人は腹を抱え、声を殺して笑っている。
「……… ひっ………ひーっ……っ」
( そんなに笑わなくてもいいじゃない、幽霊かと思っただけだもの…… )
暫くすると治った様で、その人は勝手に話だした。
「俺はジーク、魔獣術師だ」
宜しく、と手を差し出して来る。釣られて手を出そうとすると、ジークが慌てて自らの手を引っ込めた。
「おおっと、ヤバい『花』に触れたのがバレたら殺されるかも知れねぇ」
ジークは私の全身をさっと見ると顎に手をやりニヤけ顔になる。
「独占欲丸出しの衣装だなぁ」
私が着ているのは叔母に作って貰ったドレスだ。……独占欲?
「あの、ジークさん……」
「はい?何かなお花ちゃん」
「……私はシャーロットです。お花ちゃんではありません」
「おっ、意外と気が強い方かな? 俺は嫌いじゃないよ」
( うっ、なんだか絡みづらい人だ…… )
「あなたに嫌われようと構いません、それより此処は何処ですか? なぜ私はここに居るのでしょうか?」
( もう夜だ、もしかしたらエスター様が心配しているかも知れない )
「……此処が何処かは気付いているだろう? 君の考え通り北の塔だよ。そして君は、隠された? 捕まった? 監禁された? どれかなぁ」
「あの、何故私は捕まっているのでしょう?」
私が聞くとジークさんはニッと笑った。
「捕まったを選んだね、うん…… 君は城の治癒室から逃げたんでしょ? お金、払わずにさ」
( ……… !お金払ってない事、初めて言われたちゃった!)
動揺する私を見てジークさんはぷっと吹き出した。
「くっ…… くくっ……そんな顔しなくてもっ……ぷはっ……わははは!」
ジークさんは私の顔を見て凄く笑った。笑ってはまた私を見て笑い、涙まで流している。
「あの、お金は……すぐには無理なんです。…… 私、お金持っていなくて、払おうと思っては……」
言えない、払おうと思ってるなんて……だって私、逃げたもの。実際払えないし…… ああ、どうすればいいの⁈
オロオロとする私を見てジークさんはさらに笑うと、君面白いね、何だか必死で可愛いと言う。
「冗談だよ、治療費は全額レイナルド公爵が支払っているよ。エスター令息の不注意で怪我をさせてしまったと言っていたらしいよ?」
「えっ、そんな……エスター様のせいではありません。偶々です。何故か魔獣が現れてそこに居た私の運が悪かっただけ」
そう話した私にジークさんはごめんと謝った。
「魔獣、あれは俺の所為だね」
「えっ?」
「パーティーの時でしょ? あれね、リーに頼まれちゃってさー」
「リー?」
「うん、君を此処に連れて来たのも、そして塔の周りにいる獰猛な魔獣を呼んだのも、俺の術の為せる技だね!」
「何の為に⁈ 」
「そりゃあ、リーがレイナルド令息と恋仲になりたいからじゃないのかな?」
「恋仲……」
「うん、リーは知らないからね、『花』の事、面白いから協力してあげてるんだよ」
「面白いって……」
そんな人の気持ちを弄ぶ様な事……
「でも…… 残念、時間切れ! 君の騎士がやって来ちゃった。俺は逃げるよ! じゃ、またね」
ジークさんはニヤリと笑い、投げキッスをした。指先から半透明のピンク色の蝶が出て、フワフワと飛んで消えた。
「わあっ!」
「いいね、その反応…… ま、頑張って!」と笑いながら、飛んで来た大きな鳥の背に飛び乗ると空高く飛んでいった。
………頑張って……… ⁈ 何を?
「ぴゃっ!」
突然後ろから声をかけられ変な声を出してしまった。
振り向くと私に声を掛けた人は腹を抱え、声を殺して笑っている。
「……… ひっ………ひーっ……っ」
( そんなに笑わなくてもいいじゃない、幽霊かと思っただけだもの…… )
暫くすると治った様で、その人は勝手に話だした。
「俺はジーク、魔獣術師だ」
宜しく、と手を差し出して来る。釣られて手を出そうとすると、ジークが慌てて自らの手を引っ込めた。
「おおっと、ヤバい『花』に触れたのがバレたら殺されるかも知れねぇ」
ジークは私の全身をさっと見ると顎に手をやりニヤけ顔になる。
「独占欲丸出しの衣装だなぁ」
私が着ているのは叔母に作って貰ったドレスだ。……独占欲?
「あの、ジークさん……」
「はい?何かなお花ちゃん」
「……私はシャーロットです。お花ちゃんではありません」
「おっ、意外と気が強い方かな? 俺は嫌いじゃないよ」
( うっ、なんだか絡みづらい人だ…… )
「あなたに嫌われようと構いません、それより此処は何処ですか? なぜ私はここに居るのでしょうか?」
( もう夜だ、もしかしたらエスター様が心配しているかも知れない )
「……此処が何処かは気付いているだろう? 君の考え通り北の塔だよ。そして君は、隠された? 捕まった? 監禁された? どれかなぁ」
「あの、何故私は捕まっているのでしょう?」
私が聞くとジークさんはニッと笑った。
「捕まったを選んだね、うん…… 君は城の治癒室から逃げたんでしょ? お金、払わずにさ」
( ……… !お金払ってない事、初めて言われたちゃった!)
動揺する私を見てジークさんはぷっと吹き出した。
「くっ…… くくっ……そんな顔しなくてもっ……ぷはっ……わははは!」
ジークさんは私の顔を見て凄く笑った。笑ってはまた私を見て笑い、涙まで流している。
「あの、お金は……すぐには無理なんです。…… 私、お金持っていなくて、払おうと思っては……」
言えない、払おうと思ってるなんて……だって私、逃げたもの。実際払えないし…… ああ、どうすればいいの⁈
オロオロとする私を見てジークさんはさらに笑うと、君面白いね、何だか必死で可愛いと言う。
「冗談だよ、治療費は全額レイナルド公爵が支払っているよ。エスター令息の不注意で怪我をさせてしまったと言っていたらしいよ?」
「えっ、そんな……エスター様のせいではありません。偶々です。何故か魔獣が現れてそこに居た私の運が悪かっただけ」
そう話した私にジークさんはごめんと謝った。
「魔獣、あれは俺の所為だね」
「えっ?」
「パーティーの時でしょ? あれね、リーに頼まれちゃってさー」
「リー?」
「うん、君を此処に連れて来たのも、そして塔の周りにいる獰猛な魔獣を呼んだのも、俺の術の為せる技だね!」
「何の為に⁈ 」
「そりゃあ、リーがレイナルド令息と恋仲になりたいからじゃないのかな?」
「恋仲……」
「うん、リーは知らないからね、『花』の事、面白いから協力してあげてるんだよ」
「面白いって……」
そんな人の気持ちを弄ぶ様な事……
「でも…… 残念、時間切れ! 君の騎士がやって来ちゃった。俺は逃げるよ! じゃ、またね」
ジークさんはニヤリと笑い、投げキッスをした。指先から半透明のピンク色の蝶が出て、フワフワと飛んで消えた。
「わあっ!」
「いいね、その反応…… ま、頑張って!」と笑いながら、飛んで来た大きな鳥の背に飛び乗ると空高く飛んでいった。
………頑張って……… ⁈ 何を?