ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
「さ、ここにうつ伏せに寝て頂戴」

私はドレスを脱ぎ上半身だけ裸になるとベッドに横になった。

サラ様が背中の傷痕をそっと撫でる。
「コレではまだ、痛かったわね」

そう言って治癒魔法をかけ始めた。
背中に温かな感覚が広がる。気持ちがいい…

「それにしても、このドレス凄いわね」
私に治癒を施しながら、壁に掛かるドレスを見たサラ様は、ほぉとため息を吐いた。

「叔母さまに作って頂いたドレスです」

デザインもしてくれて……と伝えると、違うわよとサラ様が全てを教えてくれた。

 ドレスを頼んだのは確かにディーバン夫人だが、デザインは全てレイナルド公爵閣下による物に変わっているのだと。( 支払いはエスターがしていると教えてくれた)

「この、銀と青の刺繍……これは貴女がエスター・レイナルドの『花』だという事が古代文字で入れられているのよ。読める人から見たら凄く独占欲の強い恥ずかしいドレスだわ……あなた大変ね」

……知らなかった……蔦と花がデザインされているとばかり思っていた……
だからジークさんもあんな事を言ったのか……

「それに、このドレスには防御魔法も施されてる。一度着たらあなたかエスター令息しか脱がせる事は出来ない様にもされてるわ」

「脱がせる……」
「愛する者を守る為ね」

 サラ様は途中で白ワインを一本飲みながらケーキを2ピース程食べた。
私の魔力はコレで回復するのよ、と話すとまた治癒をしてくれた。


「よし、これで傷は殆ど見えないわ、痛みもないでしょう? 後一回掛ければ完璧だけど、まぁそれはひと月後か二月後に会えたらやりましょう」
「はい」

私は用意されていたガウンを羽織る。サラ様が渡す物があると、持っていた鞄から箱を取り出した。

「コレは回復薬よ……20本でいいかしら、1本飲めば普通なら2日は持つけれど……彼、17歳だものね、あと10本足しとくか……」

「回復薬? 傷はもう全然痛く有りませんが……」
( 彼? エスターがなぜ回復薬と関係あるの?)

「傷じゃないわよ? 知らないの? 竜獣人は……」

そこまで言って、サラ様はウフッと笑った。

「後は自身で確かめなさい、もう扉の向こうで彼が待ちきれない様だから、ま、頑張って!」

サラ様が扉を開けるとすぐそこにはエスターが居て彼女と入れ替わる様に部屋へと入って来た。

「優しくするのよ、無理させないであげて」

そうエスターに話すと、サラ様は手を振って城へと帰って行った。
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