ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
初めてだったけど
チャプンと湯船に浸かる。
乳白色のお湯に浮かぶバラの花びらが、ユラユラと一か所に集まっていく。
「はぁ……」
さっきのキスを思い出して、私はため息を吐いてしまった。
キスが嫌だったのでは無い。寧ろ嬉しかった。体が求めるような、彼に溶け込んでしまいたくなる様な感じがした。
( エスターのキスはすごく……上手で……上手だったよね……)
ため息の理由はそこなのだ。
私はパシャパシャと顔にお湯を浴びた。
キス……私は初めてだった。
お父様やお母様に頬や額に挨拶のキスをされた事はあるけれど。
口は……特別だから、好きな人とするのよ、とお母様が言っていた。
私は、エスターが初めての人だ……好きになったのも、好きになって貰ったのも
でも、エスターは違うよね?
ずっとマリアナ王女様に好かれている。有名だもの……それだけじゃなくても凄くモテる。
……今日だって、王女様と一緒に居た……
匂いが付くほど近くに居たのよね………
「キス……王女様とした事あるのかな……」
考えるだけでザワザワとした気持ちになる。
そんな事、気にしなければいいのに……でも
どうしても考えてしまう……
だって、マリアナ王女様はとても可愛らしくて美しい人だから。
明るい金色の髪に若草色のキラキラとした大きな瞳、白い肌に指先まで整えられたキレイな手。
それに比べて私は平凡な茶色い髪に緑色の目。肌だって日に焼けていて、決して白くは無い。それに、メイド仕事で手も荒れている。
エスターは、この荒れた手に嫌な顔をせずに口付けてくれたけれど……
迎えにきてくれて、叔父に私と婚姻させて欲しいと言ってくれて、好きだと言ってくれた。
あんな素敵な人が、私の事を求めてくれる。
なのに……
なぜこんな事を考えてしまうのだろう……
今日、マリアナ王女様の約束を優先するように、別々の馬車へ乗るようにと言ったのは私だ。
なのに……
二人は……何をしていたんだろう……
「マリアナ王女様との約束って何だったのかな……」
すごく気になっている……
私の為に交わしてくれた( らしい )約束の内容。
エスターは私に何故か謝った。
( 謝らなきゃいけない事をしていた……という事?)
……もしかして二人は以前、お付き合いをしていたのではないの?
マリアナ王女様がご執心だと聞いていたけれど、確かエスターはよく城へ来ていたもの……
……本当は恋人同士だった?
そこに『花』が現れてしまったのでは?
だって……彼は最近お父様に聞いたと言っていた。それで分かったと言っていた。
知らなかったのなら……?
『花』は魂が惹かれ合うと言ったけれど、その人だけだと聞いたけれど、出会う前なら……
普通に恋をしたりしないの?
じゃないとあんなにキスが上手いなんて……あり得ない。
絶対、エスターは初めてじゃない……
( ……もう! 私、キスのことばかり考えてる…)
湯船に浮かぶ花びらが私の方へと戻ってくる。それを指先でツッと押す。
そこから波紋が広がり、花びらはまた一つの所へ集まっていった。
乳白色のお湯に浮かぶバラの花びらが、ユラユラと一か所に集まっていく。
「はぁ……」
さっきのキスを思い出して、私はため息を吐いてしまった。
キスが嫌だったのでは無い。寧ろ嬉しかった。体が求めるような、彼に溶け込んでしまいたくなる様な感じがした。
( エスターのキスはすごく……上手で……上手だったよね……)
ため息の理由はそこなのだ。
私はパシャパシャと顔にお湯を浴びた。
キス……私は初めてだった。
お父様やお母様に頬や額に挨拶のキスをされた事はあるけれど。
口は……特別だから、好きな人とするのよ、とお母様が言っていた。
私は、エスターが初めての人だ……好きになったのも、好きになって貰ったのも
でも、エスターは違うよね?
ずっとマリアナ王女様に好かれている。有名だもの……それだけじゃなくても凄くモテる。
……今日だって、王女様と一緒に居た……
匂いが付くほど近くに居たのよね………
「キス……王女様とした事あるのかな……」
考えるだけでザワザワとした気持ちになる。
そんな事、気にしなければいいのに……でも
どうしても考えてしまう……
だって、マリアナ王女様はとても可愛らしくて美しい人だから。
明るい金色の髪に若草色のキラキラとした大きな瞳、白い肌に指先まで整えられたキレイな手。
それに比べて私は平凡な茶色い髪に緑色の目。肌だって日に焼けていて、決して白くは無い。それに、メイド仕事で手も荒れている。
エスターは、この荒れた手に嫌な顔をせずに口付けてくれたけれど……
迎えにきてくれて、叔父に私と婚姻させて欲しいと言ってくれて、好きだと言ってくれた。
あんな素敵な人が、私の事を求めてくれる。
なのに……
なぜこんな事を考えてしまうのだろう……
今日、マリアナ王女様の約束を優先するように、別々の馬車へ乗るようにと言ったのは私だ。
なのに……
二人は……何をしていたんだろう……
「マリアナ王女様との約束って何だったのかな……」
すごく気になっている……
私の為に交わしてくれた( らしい )約束の内容。
エスターは私に何故か謝った。
( 謝らなきゃいけない事をしていた……という事?)
……もしかして二人は以前、お付き合いをしていたのではないの?
マリアナ王女様がご執心だと聞いていたけれど、確かエスターはよく城へ来ていたもの……
……本当は恋人同士だった?
そこに『花』が現れてしまったのでは?
だって……彼は最近お父様に聞いたと言っていた。それで分かったと言っていた。
知らなかったのなら……?
『花』は魂が惹かれ合うと言ったけれど、その人だけだと聞いたけれど、出会う前なら……
普通に恋をしたりしないの?
じゃないとあんなにキスが上手いなんて……あり得ない。
絶対、エスターは初めてじゃない……
( ……もう! 私、キスのことばかり考えてる…)
湯船に浮かぶ花びらが私の方へと戻ってくる。それを指先でツッと押す。
そこから波紋が広がり、花びらはまた一つの所へ集まっていった。