ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
 そんな事をシャーロットが悩んでいるとは考えてもいないエスターは、本当は二人でイチャイチャしながら入る筈だった湯船に浸かり、一人悶々としていた。

 彼はまだ17歳になったばかりの少年なのだ。

 今まで近くに居たのは苦手な上、仕方なく会わなければならなかったマリアナ王女と、媚びる様に側による令嬢達だけ。女性はどちらかと言えば苦手な方だった。

しかし、シャーロットに出会えた事でそれは変わった。彼女限定ではあるが……。

エスターにとって、彼女こそが初めての恋であり、心が求めてやまない『花』なのだ。


「……可愛かった……シャーロット……」

 苦しげに漏らす彼女の声が僕の中を刺激して、止めなければと思いながら、キスをやめられなかった。
( キスとは、あんなに甘くて気持ちのいいものだったのか……)

あのまま此処で……と考えてしまったが、何とか自分を抑制できた。


でも……次に彼女に触れたら……

止められない


「……はぁ」

狂おしい程に……彼女が欲しい…………

湯船に浮かぶバラの花びらを手で握り、パッと開くと花びらは跡形もない程、粉々になった。

ダメだ……このままだと彼女を壊してしまう……


エスターはもう少し落ち着こう、と深呼吸をしながら、ゆっくりと風呂に入っていた。
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