ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
ここは城の王の間。
玉座に座る国王とその横に座る王妃。
二人が見下ろす先にはマリアナ王女が不満げな顔で立っている。
「やってくれたね……マリアナ」
王はマリアナを呼び、叱りつけていた。
エスターの『花』を二度も攫った事をレイナルド公爵家から強く抗議されたのだ。
「だって、私はエスターが好きなんです! エスターが欲しいのっ!」
「欲しいからと何でも手に入るものでは無いのだよ」
王が優しく話して聞かせるが、マリアナ王女は分からない様な顔をする。
「どうして?私は王女なのよ? 手に入らないなんて可笑しいわ」
「そうか、王女ならば何でも手に入ると思っているのか……」
ふう、と王はため息を吐いた。
マリアナは16歳になった。
こんな風に我儘に育ってしまったのは私の責任だ。
可愛がり過ぎたのだ……全てを与え叶えてきた。
そのせいか他人の気持ちを考えられない人間になってしまった。
「今、ミリアリアが留学している国は知っているかな」
「知っていますわ、同盟国でしょう? 海の向こうの何も無い国ですわ」
王はうむ、と頷く。何も無いということはないのだが……知っていただけ良しとしよう。
「彼の国の第二王子がお前を#欲しい__・__#そうだよ」
「……何言ってるの? お父様」
その一言に、さすがにマリアナ王女も驚愕した。
同盟国の第二王子は変わり者と有名だったからだ。
雪の様に白い髪、褐色の肌に榛色の瞳をもつ秀麗な王子なのだが、その性格は冷淡で気に入った者以外は決して寄せ付けない。それに噂では特殊な収集癖があるという。
その為三十を過ぎても中々結婚相手が決まらずにいたのだ。
「彼方の王子も、お前と同じく何でも手に入ると思っている方らしいよ」
「嫌よっ」
「そう言うと思っていたよ、しかしもう了承したんだ、望まれていくんだ。幸せな事ではないか」
「嫌っ、私はエスターがいいのっ」
王はその言葉を待っていたかの様に満面の笑みを見せる。
「お前がそう言うだろうと、ミリアリアが王子に話を付けてくれてな、名前を一つ増やして下さったそうだ」
「名前?」
「サリム・エスター・クストア・マニデル王子だ、良かったなマリアナ」
「…………!」
王は玉座から立ち上がると王杖をマリアナ王女の前に突きつける。
「これは王命だ。本来なら王女が人攫いに加担するなどあり得ぬ事。それが同盟国の王族との婚姻などと、罰とも思えぬ寛大な処分をしてもらえただけでも有難いとおもわぬか!」
王は厳然とした態度でマリアナ王女に言い渡した。
「それは! 私はただ頼んだだけですわ」
「マリアナ、それが首謀者なのだという事が分からないのかい? いいかいコレは、婚姻というのは名ばかりの国外追放なのだよ」
「……そんなっ」
「それが嫌ならこれからこの国で一生幽閉され暮らすことになるのだよ?」
( 幽閉は絶対に嫌!)
そう思ったマリアナ王女は仕方なく結婚を受け入れた。
二週間という短期間で、マリアナ王女は同盟国のサリム王子の元へ嫁いだ。
変わり者と名高い王子が持つ邸の中にはあちらこちらに鳥籠が置いてあった。邸の中には無数の鳥の鳴き声が響いている。
「鳴き声が美しいだろう? 私はこの声が大好きなんだよ。ああ、君の声もミリアリア王女に聞いていた通りだ、まるで小鳥の囀りのように美しいね」
サリム王子は彼女の高い声が小鳥の様に愛らしいと大層喜び、大きな鳥籠の様な部屋を作るとマリアナ王女をどこにも行けない様に閉じ込めた。
玉座に座る国王とその横に座る王妃。
二人が見下ろす先にはマリアナ王女が不満げな顔で立っている。
「やってくれたね……マリアナ」
王はマリアナを呼び、叱りつけていた。
エスターの『花』を二度も攫った事をレイナルド公爵家から強く抗議されたのだ。
「だって、私はエスターが好きなんです! エスターが欲しいのっ!」
「欲しいからと何でも手に入るものでは無いのだよ」
王が優しく話して聞かせるが、マリアナ王女は分からない様な顔をする。
「どうして?私は王女なのよ? 手に入らないなんて可笑しいわ」
「そうか、王女ならば何でも手に入ると思っているのか……」
ふう、と王はため息を吐いた。
マリアナは16歳になった。
こんな風に我儘に育ってしまったのは私の責任だ。
可愛がり過ぎたのだ……全てを与え叶えてきた。
そのせいか他人の気持ちを考えられない人間になってしまった。
「今、ミリアリアが留学している国は知っているかな」
「知っていますわ、同盟国でしょう? 海の向こうの何も無い国ですわ」
王はうむ、と頷く。何も無いということはないのだが……知っていただけ良しとしよう。
「彼の国の第二王子がお前を#欲しい__・__#そうだよ」
「……何言ってるの? お父様」
その一言に、さすがにマリアナ王女も驚愕した。
同盟国の第二王子は変わり者と有名だったからだ。
雪の様に白い髪、褐色の肌に榛色の瞳をもつ秀麗な王子なのだが、その性格は冷淡で気に入った者以外は決して寄せ付けない。それに噂では特殊な収集癖があるという。
その為三十を過ぎても中々結婚相手が決まらずにいたのだ。
「彼方の王子も、お前と同じく何でも手に入ると思っている方らしいよ」
「嫌よっ」
「そう言うと思っていたよ、しかしもう了承したんだ、望まれていくんだ。幸せな事ではないか」
「嫌っ、私はエスターがいいのっ」
王はその言葉を待っていたかの様に満面の笑みを見せる。
「お前がそう言うだろうと、ミリアリアが王子に話を付けてくれてな、名前を一つ増やして下さったそうだ」
「名前?」
「サリム・エスター・クストア・マニデル王子だ、良かったなマリアナ」
「…………!」
王は玉座から立ち上がると王杖をマリアナ王女の前に突きつける。
「これは王命だ。本来なら王女が人攫いに加担するなどあり得ぬ事。それが同盟国の王族との婚姻などと、罰とも思えぬ寛大な処分をしてもらえただけでも有難いとおもわぬか!」
王は厳然とした態度でマリアナ王女に言い渡した。
「それは! 私はただ頼んだだけですわ」
「マリアナ、それが首謀者なのだという事が分からないのかい? いいかいコレは、婚姻というのは名ばかりの国外追放なのだよ」
「……そんなっ」
「それが嫌ならこれからこの国で一生幽閉され暮らすことになるのだよ?」
( 幽閉は絶対に嫌!)
そう思ったマリアナ王女は仕方なく結婚を受け入れた。
二週間という短期間で、マリアナ王女は同盟国のサリム王子の元へ嫁いだ。
変わり者と名高い王子が持つ邸の中にはあちらこちらに鳥籠が置いてあった。邸の中には無数の鳥の鳴き声が響いている。
「鳴き声が美しいだろう? 私はこの声が大好きなんだよ。ああ、君の声もミリアリア王女に聞いていた通りだ、まるで小鳥の囀りのように美しいね」
サリム王子は彼女の高い声が小鳥の様に愛らしいと大層喜び、大きな鳥籠の様な部屋を作るとマリアナ王女をどこにも行けない様に閉じ込めた。