ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
魔獣討伐に来てから二十四日目、今日はレオンの結婚式だった。
ダンッ!
シャーロットと行くはずだったのに……
多分、父上母上が一緒に行ってくれただろうが
ダンッ! ダダダダダダンッ‼︎
ゴオオッ……
「おい! エスター突かないで切れって!」
「……はい隊長」
「お前怒ってるのか? 俺が家に帰さないから?」
「……いえ、別に」
テントでの事があってから、何を思ったのかキャロンが常に近くにいる。
そうして気が付けば、尻尾で僕の体に触れてくる。
……気分が悪い。
相手は女性だから強く出るのも気が引けるし、仕事にも支障が出そうで出来ない。
オスカーに話をしたが、そこまで気にする事ではないと言われた。
確かにオスカーもよく女性騎士に触られている。
……僕もシャーロットに出会うまでは触られても何とも思っていなかったが、今は違う。
体が彼女以外は受け付けない。
……ああ、シャーロットに触れたい。
さっさと駆逐して帰りたいのに、何故か後少しという所で魔獣がまた増える。
昨日も一匹残らず駆逐したはずだったが今朝帰ろうとすると、また魔獣が現れていた。
……おかしい
もう、何日もこうだ。
エスターは誰も見ていない時を見計らい、離れた場所にある香木の上に登り気配を隠した。
香木なら鼻がきく獣人からも気付かれにくい。
しばらくジッとしていると、ガサガサと魔獣が走り回っているその後を剣で突き刺し袋に入れる数人の女性騎士達が見えた。
突き刺している剣は聖剣ではない。
アレでは魔獣は死なずあの袋の中で繁殖するだけだ。
同じ様な事をする女性騎士達は全部で五人、全て獣人だった。
その中にはキャロンの姿もあった。
……そういう事か……
日が暮れる頃ようやく魔獣を全て駆逐した。
ようやく帰れると騎士達は皆喜び、それぞれが明日の帰路に備えてテントで休んだ。
エスターとオスカーは皆のいる場所より少し離れた所にテントを張って眠っていた。
深夜、足音を立てず進む人影が五つ。
横になっていたオスカーも気が付き、二人でそっと後をつけた。
五つの影は林の奥に着くと、それぞれが持つ袋を置き紐に手を掛けた。
「そこまでにしてくれないか」
オスカーが静かにその影達に言った。
ギクリとして振り向いたのは、エスターが見た女性騎士達だった。
「オスカー隊長……エスター副長……」
問いただすと、五人は十日ほど前から同じ事を繰り返していたと証言した。
「何の為にこんな事をしたんだ」
激昂に駆られながら話すエスターの低く冷たい声と冷血な視線に、女性騎士達はびくりと体を強張らせ、声を失う。
「エスターもう少し感情を抑えろ、コレでは話が出来ない」
エスターは、はあっと深く息を吐くと彼女達から目を逸らした。
そこから聞いた彼女達の話はあまりにもくだらない物だった。
討伐が終わればオスカーとエスターに会えなくなる、一日でも長く一緒にいたかったとそれだけだったのだ。
「……くだらない」
吐き捨てる様にオスカーが言った。
「僕には婚約者がいるんだ、一緒にいて何になると
言うんだよ」
そうエスターが言うと、キャロンは薄ら笑いを浮かべる。
「婚約者? 別にそんなの構わないわ、それに相手は人でしょう? 一度私達と過ごせば獣人の良さを体で知るわよ」
「何を? それって俺達と関係を持ちたいって事? そう言ってる⁈ 」
オスカーが呆れた様にキャロン達に聞く。
「そうだと言ったら受けてくれるの?」
ダンッ! ダダダダダダダダダダダダダダダンッ‼︎
「キャアアッ!」
ゴオオーッと音を立て地面が揺れ、寝ていた鳥達が、一斉に羽ばたき飛んでいく。
離れた場所で休んでいた騎士達も突然の揺れに起き出していた。
「エスター! 突くなと言っただろう‼︎ 」
余りにも下らない話の合間に、袋に入った魔獣を駆逐したエスターは目を落としたまま、気になっていたあの事をキャロンに聞いた。
「僕が出した手紙は?」
「届けていないわ、一通も」
「僕は……君を信用していたんだ」
「……そう」
オスカーは怒りに震えるエスターの肩に手を置いた。
「すまないエスター、俺がもっと見ておけばよかったんだ。後は任せてお前はすぐに家に戻れ。シャーロット嬢が不安になっているはずだ」
「……ああ、先に戻らせてもらう」
エスターはそのままシャーロットのもとへと急ぎ帰った。
ダンッ!
シャーロットと行くはずだったのに……
多分、父上母上が一緒に行ってくれただろうが
ダンッ! ダダダダダダンッ‼︎
ゴオオッ……
「おい! エスター突かないで切れって!」
「……はい隊長」
「お前怒ってるのか? 俺が家に帰さないから?」
「……いえ、別に」
テントでの事があってから、何を思ったのかキャロンが常に近くにいる。
そうして気が付けば、尻尾で僕の体に触れてくる。
……気分が悪い。
相手は女性だから強く出るのも気が引けるし、仕事にも支障が出そうで出来ない。
オスカーに話をしたが、そこまで気にする事ではないと言われた。
確かにオスカーもよく女性騎士に触られている。
……僕もシャーロットに出会うまでは触られても何とも思っていなかったが、今は違う。
体が彼女以外は受け付けない。
……ああ、シャーロットに触れたい。
さっさと駆逐して帰りたいのに、何故か後少しという所で魔獣がまた増える。
昨日も一匹残らず駆逐したはずだったが今朝帰ろうとすると、また魔獣が現れていた。
……おかしい
もう、何日もこうだ。
エスターは誰も見ていない時を見計らい、離れた場所にある香木の上に登り気配を隠した。
香木なら鼻がきく獣人からも気付かれにくい。
しばらくジッとしていると、ガサガサと魔獣が走り回っているその後を剣で突き刺し袋に入れる数人の女性騎士達が見えた。
突き刺している剣は聖剣ではない。
アレでは魔獣は死なずあの袋の中で繁殖するだけだ。
同じ様な事をする女性騎士達は全部で五人、全て獣人だった。
その中にはキャロンの姿もあった。
……そういう事か……
日が暮れる頃ようやく魔獣を全て駆逐した。
ようやく帰れると騎士達は皆喜び、それぞれが明日の帰路に備えてテントで休んだ。
エスターとオスカーは皆のいる場所より少し離れた所にテントを張って眠っていた。
深夜、足音を立てず進む人影が五つ。
横になっていたオスカーも気が付き、二人でそっと後をつけた。
五つの影は林の奥に着くと、それぞれが持つ袋を置き紐に手を掛けた。
「そこまでにしてくれないか」
オスカーが静かにその影達に言った。
ギクリとして振り向いたのは、エスターが見た女性騎士達だった。
「オスカー隊長……エスター副長……」
問いただすと、五人は十日ほど前から同じ事を繰り返していたと証言した。
「何の為にこんな事をしたんだ」
激昂に駆られながら話すエスターの低く冷たい声と冷血な視線に、女性騎士達はびくりと体を強張らせ、声を失う。
「エスターもう少し感情を抑えろ、コレでは話が出来ない」
エスターは、はあっと深く息を吐くと彼女達から目を逸らした。
そこから聞いた彼女達の話はあまりにもくだらない物だった。
討伐が終わればオスカーとエスターに会えなくなる、一日でも長く一緒にいたかったとそれだけだったのだ。
「……くだらない」
吐き捨てる様にオスカーが言った。
「僕には婚約者がいるんだ、一緒にいて何になると
言うんだよ」
そうエスターが言うと、キャロンは薄ら笑いを浮かべる。
「婚約者? 別にそんなの構わないわ、それに相手は人でしょう? 一度私達と過ごせば獣人の良さを体で知るわよ」
「何を? それって俺達と関係を持ちたいって事? そう言ってる⁈ 」
オスカーが呆れた様にキャロン達に聞く。
「そうだと言ったら受けてくれるの?」
ダンッ! ダダダダダダダダダダダダダダダンッ‼︎
「キャアアッ!」
ゴオオーッと音を立て地面が揺れ、寝ていた鳥達が、一斉に羽ばたき飛んでいく。
離れた場所で休んでいた騎士達も突然の揺れに起き出していた。
「エスター! 突くなと言っただろう‼︎ 」
余りにも下らない話の合間に、袋に入った魔獣を駆逐したエスターは目を落としたまま、気になっていたあの事をキャロンに聞いた。
「僕が出した手紙は?」
「届けていないわ、一通も」
「僕は……君を信用していたんだ」
「……そう」
オスカーは怒りに震えるエスターの肩に手を置いた。
「すまないエスター、俺がもっと見ておけばよかったんだ。後は任せてお前はすぐに家に戻れ。シャーロット嬢が不安になっているはずだ」
「……ああ、先に戻らせてもらう」
エスターはそのままシャーロットのもとへと急ぎ帰った。