ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
指輪と手紙
ソフィアの結婚式から六日後の朝。
ディーバン男爵家の主寝室に叫び声が響いていた。
「ない! ないわっ!」
その声の主は、装飾品の入った引き出しを開けたディーバン男爵夫人だった。
「どうした? 朝からそんなに煩い声を上げて、何がないと言うんだ」
どこに行く訳でもないが、キチンとした格好をして壁に掛かる楕円形の鏡に向かい、薄くなってきた髪を櫛で整えながら、ディーバン男爵がつまらなそうに聞く。
「私の指輪よ! あなたが昔くれたでしょう、婚約する時に一生お前を愛するって言って!」
「ああ! あの古代文字を入れてもらった、高いヤツか!」
「そうよ、今日のお茶会に着けていこうと思っていたのに何処にも無いのよ。まさか……あなた売ったりしていないでしょうね⁈ 」
「うっ売るわけないだろう、アレだけは売らん……たぶん」
「じゃあ……どこよ⁈ 」
騒いでいる両親の声を、廊下でカルロが聞いていた。
先日、ソフィアの結婚式でカルロがシャーロットに渡した小さな袋、アレは母親の引き出しから偶然、自分の髪色と瞳の色の石が付いた指輪を見つけ、それを渡したのだ。
まさか両親の婚約指輪だとは思わなかった。
しかも、自分も彼女に『婚約指輪』のつもりで渡したのだから。
ディーバン男爵家の主寝室に叫び声が響いていた。
「ない! ないわっ!」
その声の主は、装飾品の入った引き出しを開けたディーバン男爵夫人だった。
「どうした? 朝からそんなに煩い声を上げて、何がないと言うんだ」
どこに行く訳でもないが、キチンとした格好をして壁に掛かる楕円形の鏡に向かい、薄くなってきた髪を櫛で整えながら、ディーバン男爵がつまらなそうに聞く。
「私の指輪よ! あなたが昔くれたでしょう、婚約する時に一生お前を愛するって言って!」
「ああ! あの古代文字を入れてもらった、高いヤツか!」
「そうよ、今日のお茶会に着けていこうと思っていたのに何処にも無いのよ。まさか……あなた売ったりしていないでしょうね⁈ 」
「うっ売るわけないだろう、アレだけは売らん……たぶん」
「じゃあ……どこよ⁈ 」
騒いでいる両親の声を、廊下でカルロが聞いていた。
先日、ソフィアの結婚式でカルロがシャーロットに渡した小さな袋、アレは母親の引き出しから偶然、自分の髪色と瞳の色の石が付いた指輪を見つけ、それを渡したのだ。
まさか両親の婚約指輪だとは思わなかった。
しかも、自分も彼女に『婚約指輪』のつもりで渡したのだから。