不遇な転生王女は難攻不落なカタブツ公爵様の花嫁になりました
ランドールは、これで自分の役目は終わったとばかりに、ソフィアが歩いてきたヴァージンロードをすたすたと出口に向かって歩きはじめたのである。

ポツンと取り残されたソフィアは、青くなっている大司祭と顔を見合わせて茫然(ぼうぜん)と立ち尽くす。

慌てて参列席の最前列に座っていた国王が立ち上がり、結婚式の終わりと、新郎は急ぎの用ができて退出すると、なんとも苦しい言い訳をする。

披露宴会場へ向かうため、ぞろぞろと参列客が退出し、大聖堂の中に国王とソフィア、そして大司祭だけが取り残されると、ソフィアは思わずその場に膝をついた。

(……やられた!)

せっかくの晴れ舞台だったのに、帰りやがった!

悲しいのか悔しいのか腹立たしいのかもわからずに、ソフィアはベールを脱ぎ捨てると、絶叫した。

「覚えてなさいよーー! 絶対振り向かせてやるんだからーーーーー!」

高い天井に自身の叫び声が吸い込まれていくのを感じながら、ソフィアはおよそ二年と半年前のことを思い出した。
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