アンドロイド・ニューワールドⅡ
アパートに帰ってきたと思ったら、何故かそこに、碧衣さんがいます。

部屋には鍵がかかっていたはずなのですが…。

しかし、アンドロイドである私や碧衣さんには、鍵の有無など関係ありませんね。

簡単に入ることが可能です。

それよりも。

「何かあったのですか?」

「えぇ、あったんです!僕の素敵な恋路が、また一歩進んだ記念を、一緒に祝いたいと思いまして」

と、碧衣さんは言いました。

何があったのかは全く分かりませんが、彼の言う恋路、という言葉から察するに。

きっと、紺奈局長絡みで、何か良いことがあったのでしょうね。

そうでなければ、碧衣さんがここまで満面の笑みになることはありません。

アンドロイドでありながら、ここまで表情豊かになれるのは、素直に羨ましいことですね。

「そこで、お祝いに僕、ドーナツ買ってきたんですよ。どうですか、一緒に」

「結構です」

「まぁまぁそう言わず。チェーン店とはいえ、ミセスドーナツのドーナツはなかなか美味しいですよ」

と、碧衣さんは箱に入ったドーナツを勧めてきました。

…ドーナツ夫人…?

何だか、身体に穴の空いていそうなご婦人ですね。

大丈夫でしょうか。

「もぐもぐ。うん、美味しい。さぁ瑠璃華さんもどうぞ」

「分かりました」

と、私は答えました。

碧衣さんがそこまで仰るなら、私も頂いてみましょう。

もぐもぐ。

うん、美味しいですね。

久露花局長が好きそうです。

「ところで、このドーナツは。もぐもぐ」

「はい、何ですか。もぐもぐ」

「お祝いって、何のお祝いなんですか?ごくん」

「あぁはい、僕紺奈局長に、プレゼントもらったんです。ごくん」

と、碧衣さんはドーナツを飲み込みながら言いました。

成程。紺奈局長からプレゼントですか。

碧衣さんが喜ぶ訳ですね。

「何をもらったのか、聞いても良いでしょうか」

「よくぞ聞いてくれました!これです」

と、碧衣さんは、青いスマートフォンを取り出しました。
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