アンドロイド・ニューワールドⅡ
そこで、私はその日。

帰宅後、早速、シミュレーションゲームアプリをインストールし、挑戦してみたのですが…。






「奏さん、私には駄目でした」

と、翌日、私は真っ先に奏さんに報告しました。

「え、な、何が?」

「シミュレーションゲームです」

と、私は答えました。

「あぁ、昨日の話の続きか…」

「はい、そうです」

「え。駄目だった?楽しくなかったの?」

と、奏さんは聞きました。

いえ、楽しくなかったとか、そういうことではありません。

私には感情がないので、楽しいという気持ちはありません。

「実は昨日、水槽に好きな魚を入れて飼育する、というシミュレーションゲームをインストールしてみたのですが」

「あぁ、あるよねそういうの…。アクアリウムアプリだっけ?流行ってるよね」

と、奏さんは言いました。

奏さんもご存知だったようです。

ならば、話は早いですね。

「昨日に比べれば、恐ろしく健全なアプリで安心したけど…。あれ、駄目だった?」

「はい。駄目でした」

「そっか…。まぁ、合わないアプリもあるよ。何が嫌だったの?思ってたほど魚の種類がなかったとか?」

「そうですね、それはあります」

と、私は答えました。

そして、昨日インストールしたアクアリウムアプリケーションのことを、再び思い出しました。

「あのゲームは、グッピーやアロワナ、エンゼルフィッシュなどの観賞魚ばかりで、深海魚が全くと言って良いほどいなくて…」

「う、うん…。だろうね…。瑠璃華さんは…まぁ深海魚好きだろうけど…。世間一般的には、深海魚はあんまり…観賞魚向きじゃないからね」

と、奏さんは答えました。

深海魚の魅力が、一般人には伝わっていないとは。

嘆かわしいです。

「観賞魚にするには難しい深海魚だからこそ、シミュレーションで育てることが出来れば、もっと楽しめると思うのですが。何故深海魚はいないのでしょう」

「そう言われると、凄く説得力を感じるけど…。やっぱり皆、折角育てるなら、可愛さや綺麗さを優先するからね。基本グロ、いや、インパクトのある見た目をしてる深海魚は、なかなかゲームにもならないのかもね」

と、奏さんは説明しました。

納得は出来ませんが、奏さんがそう仰るなら、そうなのでしょう。
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