アンドロイド・ニューワールドⅡ
そこで、私はその日。

帰宅後、早速、「あなたへのおすすめ」ゲーム一覧から、育成シミュレーションアプリゲームをインストールし、挑戦してみたのですが…。






「奏さん、私には駄目でした」

と、翌日、私は真っ先に奏さんに報告しました。

「え、な、何が?」

「育成シミュレーションアプリゲームです」

と、私は答えました。

「あぁ、昨日の話の続きだね?」

「はい」

「何でも即断即決で、フットワーク軽いのは、瑠璃華さんの長所だよね」

と、奏さんは言いました。

いつも私の長所を見つけてくださって、ありがとうございます。

それは有り難いのですが、しかし、私にはアプリゲームを続ける才能がないようです。

何でもそつなくこなす『新世界アンドロイド』を目指す私にとっては、悲しいことですね。

いえ、私には悲しいという感情はないはずなのですが。

「育成ゲームか…。最近色々あるよね。瑠璃華さんは、何を育てたの?」

「うさぎです」

「…」

と、奏さんは、何故か無言でした。

何故無言なのでしょう。

「聞こえませんでしたか?」

「…いや、聞こえてるんだけど…。瑠璃華さんが、素直にそんな…王道に可愛い動物を育てるとは思わなかったから」

と、奏さんは言いました。

私に心はありませんが、心外です。

「奏さん、私は何を育てると思っていたのですか?」

「え?そうだな…ライオンとかワニとかヘビとか育てそうだなって…」

「それは酷い誤解です」

「あ、ごめん…。そうだよね、瑠璃華さんも女の子だから…うさぎを育てることもあるよね。ごめん」

と、奏さんは謝罪しました。

女の子であることと、うさぎを育てることに、何の関連があるのかは不明ですが。

「で…うさぎの育成ゲーム、駄目だったの?」

「はい。失敗でした」

「何が?思ってたほど可愛くなかったとか…?」

「いえ、可愛さは特に問題ではないのですが」

と、私は言いました。

あのアプリケーションゲームには、致命的な欠点があったのです。

それは。

「そのゲームは、まず一匹のうさぎを飼育し、しばらくすると別のうさぎも加わり、子孫が増えたりするゲームだったのですが」

「成程。王道だね」

「問題は、ゲーム内の時間で、一定時間が経過すると…飼育年数の長いうさぎが死んでしまう点です」

と、私は言いました。

これは、致命的な欠点です。
< 156 / 467 >

この作品をシェア

pagetop