アンドロイド・ニューワールドⅡ
花火ですか。花火は知っていますよ。
爆発物です。
人間は夏になると、何故か、爆発物を空に打ち上げて楽しむのです。
こういうとき私は、人間というのは、時に非常に危険な生き物としての本性を表す、と思っています。
幸い、爆発物とはいえ、怪我人が出るほどの火薬量ではありません。
とはいえ、爆発物には変わりないので、わざわざ大会を行ってまで、爆発物打ち上げ祭りを開くというのは。
しかも、それを毎年恒例、夏の風物詩とまで呼ぶというのは。
やはり、非常に危険な行為だと思います。
「この危険な大会が、何か?」
「僕、これに参加するつもりなんですよ」
と、碧衣さんは言いました。
それは意外ですね。
「危険ではないのですか?」
「さぁ?でも僕なら、万が一この花火という爆弾が頭上で爆発しても、シールドを張って防げますし」
「そうですね」
と、私は答えました。
『新世界アンドロイド』の防御壁であれば、人間の作った火薬など、簡単に防げます。
しかし、だからといって、僅かでも危険があると分かっていて、わざわざ参加する意味が分かりません。
「何故参加するのですか?」
「知らないんですか?この花火大会というイベントは、人間達が恋人とデートをする為に行くイベントなんですよ」
と、碧衣さんは言いました。
さすが碧衣さんは、私より人間のことを知り尽くしています。
その情報は初耳でした。
そういえば、私が以前見た映画でも、男女が並んで、夜空の花火を見上げているシーンがありました。
あれは、そういうことだったのですね。
そして、もう一つ思い出しました。
「確か碧衣さんは、学校に恋人関係の女性がいるんでしたね。その方と行くのですね」
と、私は言いました。
碧衣さんには、学校で恋人がいるのだと、以前久露花局長に聞きました。
だからてっきり、その方が同伴されるのだろうと思いましたが。
「まさか!誘われはしましたけど、断りましたよ」
と、碧衣さんは言いました。
断った?誘われたのに?
「何故断ったのですか?」
と、私は聞きました。
まず、クラスメイトの人間から、花火大会に誘われるという機会を得ることそのものが、私にとっては羨ましい限りです。
それを断ったとは、碧衣さんには、一体どんな深謀遠慮が、
「そんなの勿論…紺奈局長と行く為に決まってるじゃないですか!」
と、碧衣さんは、目をきらきらさせて言いました。
これがもし少女漫画なら、碧衣さんの目は、ダイヤモンドを散りばめたように輝いていたことでしょう。
そうですか。紺奈局長と…。
「え、何でかって?だって、花火大会は年に一度しかないんですよ?」
と、碧衣さんは言いました。
私は何も質問した覚えはないのですが、碧衣さんには幻聴が聞こえたのかもしれません。
危険な兆候です。
「他のデートスポット。動物園とか遊園地とか水族館なら、いつでも開いてますよ。奴らは逃げませんからね」
「動物は、逃げる可能性がなくもないと思いますが」
「しかし、花火大会は年に一度しかありません。つまりこの機会を逃したら、僕は来年になるまで、紺奈局長と花火大会を楽しむ機会がないということです!」
と、碧衣さんは言いました。
鬼気迫っている様子です。
私が今何を発言しても、相手にしてもらえなさそうですね。
「こんな重要な機会を、クラスメイトの女子生徒なんかに使う訳にはいきません」
「そうですか」
と、私は言いました。
そのクラスメイトの女子生徒が聞いていたら、ショックを受けていそうですね。
「よって、僕は人間らしく、この浴衣を着て!紺奈局長と腕を組んで!花火大会に行ってきます!」
と、碧衣さんは元気良く言いました。
爆発物です。
人間は夏になると、何故か、爆発物を空に打ち上げて楽しむのです。
こういうとき私は、人間というのは、時に非常に危険な生き物としての本性を表す、と思っています。
幸い、爆発物とはいえ、怪我人が出るほどの火薬量ではありません。
とはいえ、爆発物には変わりないので、わざわざ大会を行ってまで、爆発物打ち上げ祭りを開くというのは。
しかも、それを毎年恒例、夏の風物詩とまで呼ぶというのは。
やはり、非常に危険な行為だと思います。
「この危険な大会が、何か?」
「僕、これに参加するつもりなんですよ」
と、碧衣さんは言いました。
それは意外ですね。
「危険ではないのですか?」
「さぁ?でも僕なら、万が一この花火という爆弾が頭上で爆発しても、シールドを張って防げますし」
「そうですね」
と、私は答えました。
『新世界アンドロイド』の防御壁であれば、人間の作った火薬など、簡単に防げます。
しかし、だからといって、僅かでも危険があると分かっていて、わざわざ参加する意味が分かりません。
「何故参加するのですか?」
「知らないんですか?この花火大会というイベントは、人間達が恋人とデートをする為に行くイベントなんですよ」
と、碧衣さんは言いました。
さすが碧衣さんは、私より人間のことを知り尽くしています。
その情報は初耳でした。
そういえば、私が以前見た映画でも、男女が並んで、夜空の花火を見上げているシーンがありました。
あれは、そういうことだったのですね。
そして、もう一つ思い出しました。
「確か碧衣さんは、学校に恋人関係の女性がいるんでしたね。その方と行くのですね」
と、私は言いました。
碧衣さんには、学校で恋人がいるのだと、以前久露花局長に聞きました。
だからてっきり、その方が同伴されるのだろうと思いましたが。
「まさか!誘われはしましたけど、断りましたよ」
と、碧衣さんは言いました。
断った?誘われたのに?
「何故断ったのですか?」
と、私は聞きました。
まず、クラスメイトの人間から、花火大会に誘われるという機会を得ることそのものが、私にとっては羨ましい限りです。
それを断ったとは、碧衣さんには、一体どんな深謀遠慮が、
「そんなの勿論…紺奈局長と行く為に決まってるじゃないですか!」
と、碧衣さんは、目をきらきらさせて言いました。
これがもし少女漫画なら、碧衣さんの目は、ダイヤモンドを散りばめたように輝いていたことでしょう。
そうですか。紺奈局長と…。
「え、何でかって?だって、花火大会は年に一度しかないんですよ?」
と、碧衣さんは言いました。
私は何も質問した覚えはないのですが、碧衣さんには幻聴が聞こえたのかもしれません。
危険な兆候です。
「他のデートスポット。動物園とか遊園地とか水族館なら、いつでも開いてますよ。奴らは逃げませんからね」
「動物は、逃げる可能性がなくもないと思いますが」
「しかし、花火大会は年に一度しかありません。つまりこの機会を逃したら、僕は来年になるまで、紺奈局長と花火大会を楽しむ機会がないということです!」
と、碧衣さんは言いました。
鬼気迫っている様子です。
私が今何を発言しても、相手にしてもらえなさそうですね。
「こんな重要な機会を、クラスメイトの女子生徒なんかに使う訳にはいきません」
「そうですか」
と、私は言いました。
そのクラスメイトの女子生徒が聞いていたら、ショックを受けていそうですね。
「よって、僕は人間らしく、この浴衣を着て!紺奈局長と腕を組んで!花火大会に行ってきます!」
と、碧衣さんは元気良く言いました。