アンドロイド・ニューワールドⅡ
しかし、その結果。

私のスマートフォンは、再び空っぽになってしまいました。

これでは、何の為に購入したのだか分かりませんね。

いえ、連絡手段として購入したのですから、連絡手段に使えれば、それで良いのですが。

しかし、それなら家の電話でも事足ります。

「私には、スマートフォンは向いていなかったのでしょうか」

「いや、そんなことはないと思うよ。ただ、ちょっと無知が過ぎるだけで…」

と、奏さんは慰めてくださいました。

無知?私がですか?

『新世界アンドロイド』として、人間より遥かに多くの知識を持つはずの私が、無知と言われるとは。

これは屈辱ですね。

私には感情がないので、恥ずかしいという気持ちはありませんが。

知らないのなら、これから知れば良いだけの話です。

「アプリは色々、たくさんあるからさ。少しずつ、自分に合う便利なアプリを探せば良いよ。そんな焦らなくても」

「そうですか…。分かりました」

「ただし、絶対人に迷惑をかけないようにしよう」

と、奏さんは真顔で言いました。

今日の奏さんは、真顔モードが冴えていますね。

何か不思議なものでも見えたのでしょうか。
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