アンドロイド・ニューワールドⅡ
数日後。

「奏さん、少々お聞きしても宜しいでしょうか」

「ん?どうしたの?」

「スマートフォンアプリケーションの話なのですが」

「あ。それどうなったの?また迷惑行為してないよね?」

と、奏さんは不安そうに聞きました。

何のことでしょう。迷惑行為とは。

私は、ごく健全なアプリケーションしか利用していません。

金魚の餌も、奏さんに言われた通りホームセンターで購入しています。

「最近私は、とあるアプリケーションを毎日利用しています」

「おぉ。何かハマるアプリを見つけたんだね。良かったね」

と、奏さんは言いました。

ハマる…いえ、ハマってはいませんが。

「面白いの?」

「面白くはありません。学習用アプリケーションです」

「あ、成程頭脳系アプリか…。瑠璃華さん頭良いもんね、そういうアプリの方が性に合うのかも」

と、奏さんは言いました。

「どんなアプリ?クロスワードとか?数独?」

「ゲーム内のイケメンを攻略し、プロポーズしてもらうアプリケーションです」

「…ねぇ。それって本当に頭脳系?乙女ゲーじゃなくて?」

と、奏さんは聞きました。

乙女ゲーとは何のことでしょう。

私は『新世界アンドロイド』であって、乙女ではありません。

「ま、まぁ…。最近は本当、色んなアプリがあるから…。もしかしたら、クロスワードや数独をしながら、イケメンを攻略するゲームも…ある…ある…のか…?」

と、奏さんは自分で言いながら、首を傾げていました。

自分の発言に、自信がなくなってきたのかもしれません。

「何にせよ、瑠璃華さんが楽しんでるなら良いけど…。今回は誰にも迷惑かけてなさそうだし…」

と、奏さんは言いました。

今回はって何のことでしょう。私は誰にも、迷惑をかけてはいません。

非常に模範的に、スマートフォンを利用しています。

「そのアプリケーションでは、複数人の自称イケメン男子が、6人ほど出てきます」

「そうなんだ」

「ホスト風の、いかにもチャラい金髪男子や、スポーツが得意な爽やか系男子、つっけんどんで無口な男子等々、個性豊かなキャラクターが登場しています」

「ねぇ。やっぱりそれって乙女ゲーじゃないの?」

「乙女ゲーとは何のことですか?」

と、私は聞き返しました。

私が行っているのは、頭脳系、学習用アプリケーションです。
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