アンドロイド・ニューワールドⅡ
「瑠璃華さんは、その…幼馴染み君を攻略してるんだ?」

「はい」

「つかぬことを聞くけど…瑠璃華さんは…幼馴染み属性の人が好きなの?」

と、奏さんは不思議なことを聞きました。

幼馴染み属性?

「はい?」

「あっ、いや…。えぇと、その幼馴染み君が好きなの?」

と、奏さんはまた不思議なことを聞きました。

「好きも何も、相手は実在しない、画面の中の架空の存在です。好きになったところで、虚しいだけなのでは?」

「それは、乙女ゲーやってる人に言っちゃいけない言葉だよ…」

「…?」

と、私は首を傾げました。

何度も思っていますが、乙女ゲーとは何のことでしょう。

「ただ、彼が最初に出てきたキャラクターだったので、最初に攻略しようと思っただけです」

と、私は言いました。

敵は、出てきた順で倒した方が分かりやすいですから。

「あ、成程そういうことか。良かった、瑠璃華さんが幼馴染み属性好き、って訳じゃないんだ…」

と、奏さんは何故か、胸を撫で下ろしていました。

…?

奏さんの言動が不可解です。

属性とは、何のことでしょう。

「それで、瑠璃華さんの聞きたいことって何?」

「あ、はいそうですね。その幼馴染みを攻略するに当たって、アドバイスを頂きたいと思いまして」

「成程。他人の男を攻略する為の助言を求められるなんて、ちょっともやもやしないこともないけど…」

「はい?」

「あ、いや何でもない。…まぁ大丈夫でしょ。二次元だし…瑠璃華さんは、別に幼馴染み属性が好きって訳じゃないみたいだし…」

と、奏さんはぼそぼそ呟いていました。

大丈夫でしょうか。先程から、奏さんの様子が変です。

「何か気になることでもありましたか?」

「ううん、何でもない。それで、何が聞きたいの?何処かで躓いてるとか?」

「躓いていると言いますか…。その幼馴染みの言動がどうにも変なので、世間一般的にあれが正しいのか、奏さんに判断して頂きたいのです」

「言動が変、か…。いくら二次元とはいえ、瑠璃華さんにだけは言われたくないだろうな…」

「はい?」

「いや、何でもない」

と、奏さんは言いました。

先程から、奏さんの言動も変ですね。

何か不思議なものでも見えたのでしょうか。

「それで、瑠璃華さんの目から見て、何が変なの?」

「はい。ゲームの中で主人公は、私達と同じく高校に通っているのですが…」

「あ、学園モノなんだ…」

「はい。まず気になるのは、主人公と幼馴染みは、ただ幼馴染みだからという理由で、一緒に通学しているのです」

「…へぇ…」

「これはおかしくありませんか?幼馴染みであることと、一緒に登校することは、関係ないのでは?」

と、私は聞きました。
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