アンドロイド・ニューワールドⅡ
数日前からあのアプリケーションをプレイしていて、気になることは多々あるのですが。

まず聞きたいのは、幼馴染みと主人公の距離感です。

「ま、まぁ…。確かに、幼馴染みだからって、一緒に登校する…。リアルではあんまりないと思うけど…。それくらいなら、乙女ゲーなら普通なんじゃない?」

と、奏さんは言いました。

成程、あれは普通のことなのですね。

では、次に聞きたいことは。

「しかもその幼馴染み、何かと言えば笑いながら、『お前は小さいときからそうだよなぁ』とか、『昔から変わらないなぁ』とか、主人公である私のことを、何年も前から一切変化のない、進歩のない人間のように貶してくるのです」

「…幼馴染みあるあるの、萌えポイントのはずなんだけど…。瑠璃華さんは、そういう捉え方をするんだ…」

「いくら幼馴染みとはいえ、失礼だとは思いませんか?」

と、私は言いました。

あのアプリケーションを始めてから、もう何度言われたことか分かりません。

とても失礼な男だと思います。

「いや、相手は決して悪意があって、貶そうと思って言ってるんじゃないんだよ」

と、奏さんは言いました。

「そうなのですか?」

「うん。むしろ親しみを込めて言ってるんだよ。昔から変わらない長所として言ってくれてるんだ」

と、奏さんは言いました。

なんと。あれは褒め言葉だったのですね。

「そうだったのですね…。あまりに彼が『お前は変わらないよな』と言うので、なんて礼儀知らずな男かと思っていましたが」

「そんな風に思うのは、多分瑠璃華さんだけだろうね」

「あれは親しみを込めた台詞だったのですね。理解しました」

「うん、良かった」

と、奏さんは言いました。

やはり、奏さんに聞いて良かったです。

ゲーム内の架空の人間とはいえ、やはり人間のことは、人間に聞くのが一番ですね。

おまけに奏さんは、ゲーム内の登場人物と同じく、男性ですから。

余計に、登場人物の気持ちがよく分かるのでしょうね。

羨ましいです。

「しかし、他にも気になることがありまして」

「うん。何?」

「しばらくゲームを進めていると、その幼馴染みに、遊園地に誘われたのですが」

「お。いかにも乙女ゲーらしい、良いイベントだね」

と、奏さんは言いました。

あれは良いイベントなのですか。

「いくつか遊具に乗った後、最後に観覧車に乗ったときのことです」

「おぉ。良いシチュエーションだ」

「そのとき彼が、『こうしてると、何だか恋人みたいだな』と言ったのですが」

「おぉ…。乙女ゲーだぁ…」

「あれはどういう意味なのですか?」

「…」

と、奏さんは無言になりました。
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