アンドロイド・ニューワールドⅡ
夢があって、とても羨ましい限りです。

しかし、私は一つ疑問を抱きました。

碧衣さんは、このように自ら花火大会のプランを立てているようですが…。

「碧衣さん。つかぬことをお聞きしますが」

「はい、何ですか?」

「紺奈局長から、了承は得られているんですか?」

と、私は尋ねました。

すると碧衣さんは、目を輝かせて。

「えぇ、それは勿論…」

と、碧衣さんは言いました。

勿論と言うからには、既に紺奈局長の了解も得られているのでしょう。

さすが碧衣さん、計画に抜かりがな、

「これから誘います」

…と、碧衣さんは言いました。

これからなんですね。今、褒めかけたのを撤回させて頂きます。

「では、断られる可能性もあるのでは?他に予定があったら…」

「僕とのデート以上に、優先するべきことなんてありませんよ、きっと。もしあったとしたら、そのときは緊急事態が起きたということですから、そうなったら僕が紺奈局長を助けに行きます」

と、碧衣さんは言いました。

成程、確かにそうかもしれません。

「完璧なプランですね」

「ふふふ、そうでしょう?」

と、碧衣さんは笑顔で言いました。

そして、更に。

「この機会は見逃せませんよ。是非とも、瑠璃華さんもお友達を誘ってみたらどうですか?」

と、碧衣さんは言いました。

とても興味深い質問です。

「私がですか?でも、花火大会というのは、恋人同士が行くものだと、先程言いませんでしたか?」

と、私は聞きました。

私に恋人がいれば、私も花火大会に行ってみても良かったのですが。

生憎、私に恋人はいません。

少し前、二日くらいは恋人もいたんですが。

あれは、最早遠い昔の出来事です。

「えぇ。確かに恋人の祭典ですが…しかし、友達同士で行く、という話も聞きましたよ」

「そうなんですか?」

「はい。僕の通ってる学校で、何人かそんな話をしてました。主に女子ですが。友達同士で花火大会に行こうと」

「ふむ、成程。そうでしたか」

と、私は答えました。

花火大会というものが、友達同士でも行けるのであれば、私にも機会はありますね。

私には恋人はいませんが、友達ならいますので。

「折角だから、誘ってみると良いですよ。そして是非、浴衣を着てみるべきですね」

「浴衣ですか…。動きにくそうですが、私に着れるでしょうか?」

「僕が着れてるんだから、あなたも大丈夫じゃないですか?」

と、碧衣さんは言いました。

確かにそうですね。

同じ『新世界アンドロイド』なのですから、碧衣さんが着られて、私が着られないということはないでしょう。

では私のやるべきことは、すぐにその、浴衣という衣装を入手すること。

そして、友人である奏さんを、花火大会に誘うことですね。
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