アンドロイド・ニューワールドⅡ
昼休み。

私は早速、奏さんに文化祭のことをお話しました。

「文化祭、とても興味深いイベントですね」

「あ、そうか…。瑠璃華さん、初めての文化祭だもんね」

と、奏さんは言いました。

「はい。ちなみに、喫茶店の営業も初めてですね」

「瑠璃華さん、中学のとき文化祭何したの?」

と、奏さんは聞きました。

不思議なことを聞きますね。

「私は『新世界アンドロイド』ですので、中学校には通っていません。この度『人間交流プログラム』で高校に来たのが、私にとって初めての学生生活です」

「あ、うん。そういう設定なんだっけ…」

と、奏さんは言いました。

設定?

「まぁ良いや。瑠璃華さんは美人だから、瑠璃華さんが看板娘をやったら、集客率アップ間違いないだろうなぁ」

と、奏さんは言いました。

お褒めくださるのは有り難いのですが、私はアンドロイドですので。

美人ではなく、美アンドロイドと呼んでください。

「しかし、喫茶店ですか…」

「あれ?瑠璃華さん、喫茶店嫌だった?他の出し物の方が良かった?」

と、奏さんは聞きました。

ちなみにあの場で、他に出ていた意見は。

アイスクリーム屋、パンケーキ屋、たこ焼き屋などの、食べ物系屋台の他。

お化け屋敷、ファッションショーなどのイベント系もありました。

漫才コンテスト、なんていう意見も出ていましたね。

どれも興味深いので、出来ることならどれも経験してみたかったですが。

多数決という、この世で最も民主的な方法で、厳正に決められてしまったので。

こればかりは、私があれこれ言っても仕方のないことでしょう。

それに、喫茶店も充分魅力的です。

しかし、一つ欲を言うとしたら…。

「ただの喫茶店ではなく、何らかのテーマに沿った喫茶店をやりたかったですね」

「え。何だろう?メイド喫茶とか?」

「いえ。宇宙人喫茶とかですね」

「…初めて聞いたんだけど…宇宙人…?」

と、奏さんはポカンとして聞きました。

「はい。店員が全員、宇宙人のコスチュームプレイをして、接客するのです。飲食物は、全て宇宙食です。コーヒーやお茶は、宇宙空間に適した密閉容器に入れ、ストローで飲むという仕組みで」

「成程。物凄く奇抜なんだけど、ちょっと面白そうだなと思ってしまった自分がいる」

と、奏さんは言いました。

来年は、宇宙人喫茶を提案してみても良いかもしれませんね。
< 173 / 467 >

この作品をシェア

pagetop