アンドロイド・ニューワールドⅡ
「奏さんは、何がやりたかったですか?」

と、私は尋ねました。

奏さんも、喫茶店で満足しているのでしょうか。

「いや、俺は別に…」

「そうですか。漫才コンテストに興味があったのですね?」

「いや、俺何も言ってないから。漫才もやらないから」

「でも相方がいらっしゃらないから、断念されたのですね。それならそうと、仰ってくれれば良かったものを。僭越ながら私が相方を務めますので、コンビを組みましょう」

「言ってない。俺一言もそんなこと言ってない」

「私がツッコミをやるので、奏さんはボケてください」

「…逆じゃない…?」

と、奏さんは言いました。

何が逆なのでしょう。

「文化祭なら、運動会に比べれば、奏さんも楽しみやすいイベントですね」

と、私は言いました。

運動会のときは、散々、クラスメイトに腹立たしいことを言われたりされたりしましたが。

文化祭は、屋内で行うイベントです。

奏さんが、引け目を感じる必要はありません。

きっと彼も、心置きなく楽しめることでしょう。

…しかし。

「うん…。まぁ、そうだね…」

と、奏さんはどうにも、煮え切らない返事をしました。

おまけに、視線を逸らしています。

…?何か、気になることでもあったのでしょうか。

…すると、そこに。

「緋村。それに電波ちゃんも。ちょっと良い?」

と、クラス委員の湯野さんが、刺々しい口調で。

私と奏さんの間に、割って入りました。

ようこそいらっしゃいました。
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