アンドロイド・ニューワールドⅡ
まず、浴衣の用意。

これは、比較的簡単に出来ました。

世の中は花火大会に浮かれているのか、近所のショッピングモールに行くと、一部エリアが全面、浴衣売り場に変貌していました。

様々な種類があって、どれを選ぶべきか迷いましたが。

浴衣の中でも、ひときわ動きやすそうなスタイルのものがあったので、それを選びました。

やはり、機能性は大事ですね。

ましてや、花火大会では混雑が予想されます。

混雑した会場で、おまけに動きにくいとなると、さぞや窮屈な思いをすることになるでしょう。

その点この浴衣なら、従来のものより機能性が重視されていて、かなり動きやすそうです。

これなら、混雑した会場でも、機動力を確保することが出来るに違いありません。

浴衣という伝統衣装の形を守りながら、機動力を追及したこのスタイル。私はとても画期的だと判断しました。

そういう訳で、浴衣の心配は必要なくなりました。

次の問題は、奏さんを誘うことが出来るか、です。

これでもし奏さんに断られてしまったら、私は花火大会に行く権利を失います。

そうしたら、私は一人寂しく、花火大会の夜を、自宅で浴衣を着て過ごさなければなりません。

それはそれで、興味深い体験のような気がしなくもないですが。

やはり浴衣を買ったからには、花火大会の現場で着用してみたいですね。

そこで、奏さんに連絡を取ろうとした…ところ。

私が受話器を持つ前に、自宅に設置してある電話が鳴り響きました。

電話が鳴ってますね。

他人から電話が掛かってくるのは、これが初めてです。

ですが、電話というのはどうやって取れば良いのか、私は知っています。

従って。

「CQCQ。こちらは『Neo Sanctus Floralia』第4局所属、1027番の久露花瑠璃華です。オーバー」

と、私は完璧な電話対応をしました。

初めてにしては、素晴らしい対応だと思います。
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