アンドロイド・ニューワールドⅡ
これら一連の香りを、判別して頂けないとは。

残念ですね。

恐らく、久露花局長なら、秒速で嗅ぎ分けることが出来たと思われます。

あの方の、チョコレートに対する嗅覚は本物ですから。

伊達に、チョコレートを主食にしている訳ではありません。

「分かりませんか?」

「ごめん、残念だけど俺には区別がつかないよ。…言われてみれば何となく、カカオっぽい苦い匂いが…しなくもないけど」

と、奏さんは答えました。

そうですか。

これが分からないとは、奏さんもまだまだですね。

「でも多分、道行く人を捕まえて、『これ何の香り?』って聞いていったら、多分10人中9人は、首を傾げると思う」

と、奏さんは真顔モードで言いました。

まさか。なんと。

そんなに分からないのですか。皆さん。

「そうですか…。私と、それから久露花局長なら、すぐに判別可能なのですが…」

「そっか…。多分、チョコドーナツのアロマオイルの匂いを当てられる人なんて、世の中で瑠璃華さんと、その局長さん…瑠璃華さんのお父さんだけだと思うよ」

と、奏さんは言いました。

久露花局長と私は、血の繋がりはありません。

親子関係でもありませんが、彼が私の創造主であることには変わりありませんので。

奏さんは、久露花局長のことを、私の父親だと例えています。

あながち、間違ってはいないのかもしれません。

「そのアロマオイル、他にもあるの?」

「勿論です。チョコプリンの香り、こちらはチョコテリーヌの香り。こちらはガトーショコラの香りですね亅

「成程ね。絶対俺には区別がつかないよ」

と、奏さんは言いました。

それは残念です。

「っ言うか、よくそんなシリーズ売ってたな…。誰得なんだろう…。あっ、瑠璃華さんのお父さん得か…」

と、奏さんは一人で呟いていました。

久露花局長得とは、どういう意味でしょうか。

「…そもそも、何でチョコレートの匂いなの?アロマオイル…他にももっと種類なかった?」

と、奏さんは尋ねました。

アロマオイルの種類ですか。

確かに、たくさんありました。
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