アンドロイド・ニューワールドⅡ
そして、宣言通り、チョコレートのメニューと飲み物を注文をした久露花局長は。

「はー、まだかな〜。まだかな〜」

と、子供のようにはしゃいでいらっしゃいました。

久露花局長はチョコレートを前にすると、精神年齢が30歳は下がるという、私個人の統計データがあります。

少年というよりは、幼児まで退行していますね。

「ある程度準備しているにしても、あれだけメニューがたくさんあると、作る方は大変でしょうね…」

と、朝比奈副局長は言いました。

私も、そうだと思います。

「それよりも、瑠璃華さんは何処でしょう?近くにいるんでしょうか…」

と、朝比奈副局長は言いました。

私なら、隣の教室にいます。

伝えたいですが、伝える手段がありませんね。

「彼女は確か、キッチンでもホールでもなく、別室で会計の仕事をやってるんですよね。折角の文化祭なのに、華やかな仕事が出来なくて気の毒…」

「あ〜!チョコレート早く来ないかな〜!」

「…局長。チョコレートに興奮するのは結構ですが…。あくまでこれは、瑠璃華さんの『人間交流プログラム』の視察だということを、忘れないでください…」

と、朝比奈副局長は言いました。

恐らく無理でしょうね。

推測ですが、恐らく今久露花局長の頭の中は、チョコレート一色に塗り固められています。

他のことを考える余裕は、全く無いものと思われます。

恐らく、今校舎が爆発しても、気がつかないのではないかと思います。

チョコレートの魔力は強力です。

すると、そこに。

「お待たせしました。お飲み物先にどうぞ」

と、ホール係のクラスメイトは言いました。

飲み物だけを、先に持ってきたようですね。

「ありがとー!」

と、局長は嬉しそうな声で受け取りました。

本当に嬉しそうですね。

「マシュマロだ。マシュマロ〜。マシュマロにたっぷりココアを吸わせて…。もぐ。うま〜!」

「きょ、局長。声が大きいです。皆さん見てますから…」

「翠ちゃんも食べてご覧!美味しいよ〜」

と、局長は相変わらず嬉しそうに言いました。

先程から、朝比奈副局長が必死に制止しているのですが、やはり全く聞こえていないようですね。

今の局長に、冷静な判断は出来そうもありません。

「は〜。早くチョコレートも来ないかな〜」

と、久露花局長は言いました。

そのまま、頭の中お花畑、いえ、頭の中チョコレート状態で、うきうきと待っていました。
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