アンドロイド・ニューワールドⅡ
次です。

「そろそろ紅茶が出来た頃です。あなた、ティーバッグを取り出してください」

と、私は近くで呆然と突っ立っていた、キッチン係のクラスメイトに声をかけました。

「え?あ、あぁ」

「紅茶の品種を間違えないように。左からダージリン、アールグレイ、アールグレイ、アッサムです。ダージリンとアッサムはミルク付き、アールグレイのうち一つはレモン、もう一つのアールグレイはストレートです」

と、私は伝票を一読した記憶の通りに、指示を出しました。

それで。

「奏さん、パンケーキとケーキのトッピングは終わりましたか?」

「あ、うん。今…はい、これで出来上がり」

「ありがとうございます」

と、私は言いました。

そして、奏さんがケーキとパンケーキのお皿を、お盆に乗せてくれました。

それから…。

先程作業をしながら、新たにお客さんが入ってきた声がしました。

この足音からして、お客さんは三名ですね。

よって、お冷やとおしぼりが、それぞれ三人分。

これらも、また別のお盆に乗せます。

更に、先程指示した紅茶と、私が先程セットしたコーヒーメーカーのコーヒーの準備が出来ます。

飲み物を全てお盆に乗せ、これで四つのお盆がいっぱいになりました。

ついでに、先程やってきたばかりのお客さんに、メニュー表を持っていかなければなりません。

一つずつ運んでいては、時間がかかりますね。

私のボディには、手が二本、頭も一つついているのですから。

今こそ、そのスペックを最大限に活かすべきです。

「よいしょ…っと」

「ぶはっ…。る、瑠璃華さん大丈夫!?」

「はい、問題ありません」

と、私は答えました。

私は左手でお盆を一つ、左肘の上に一つ。

かつ、右手でお盆を一つ、右肘の上に一つお盆を乗せ。

更に、メニュー表を三冊分、頭の上に乗せて。

その姿のまま、バランスを取りつつホールに出ました。

まるで曲芸師のような私の姿を見たお客さんが、目を点にさせていましたが。

今は忙しいので、そんなことに構ってはいられませんね。
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