アンドロイド・ニューワールドⅡ
キッチンに戻ると、ケーキの解凍が済み、パンケーキも焼き上がっていたので。

奏さんにトッピングを手伝ってもらって、それらもテキパキとテーブルに運びました。

ついでに、注文も取ってきました。

フルーツサンドと、コーヒーゼリーだそうです。

今更ですが、本当にメニューが多いですね。

パフェが三種類、ケーキとパンケーキも数種類あって、サンドイッチ、フレンチトースト、ゼリー、プリンなんかもメニューに載っています。

それから、飲み物もかなり種類がありますしね。

まぁ、飲み物は注ぐだけのジュースや、紅茶もティーバッグですが。

こんなに種類がたくさんあったら、慣れていないキッチン係は、困惑するのも頷けます。

私がアンドロイドの手を貸したことで、少しは落ち着いたものの。

またどっとお客さんが押し寄せてきたら、会計どころではない…と。

思っていたところ。

「何だか、お客さんの数が引いてきましたね」

と、私は言いました。

先程まで、ほぼ全てのテーブルが埋まっていたのですが。

段々と、空席が目立つようになってきました。

「講堂や体育館で、文化部の発表が始まったからじゃないかな」

と、奏さんは言いました。

奏さんも、ケーキのトッピングを手伝ってもらって、ありがとうございました。

「成程。先程のお客さんも、この後待ち合わせがあるとか言っていましたからね」

と、私は納得して言いました。

皆さん、それぞれ見たいものを見に行ったのでしょうね。

それで、喫茶店で優雅にお茶を飲んでいる暇はない、と。

忙しさに紛れて、いつの間にか、久露花局長達も帰ってしまったようです。

もしかしたら、まだ校舎内の何処かにいるのかもしれませんが。

ともかく、これならもう、私の手伝いは必要なさそうです。

クラスメイト達も、段々と慣れてきたようですし。

すると。

「久露花さーん。ありがとねー」

と、ホール係の女子生徒は、私に声をかけてきました。

「はい、何がでしょう」

「こっち手伝ってくれて。助かったよ」

と、ホール係の女子生徒は言いました。

「いえ。私も暇を持て余していたので」

「そう?久露花さん手際が良いから、何とか乗り切れたよ」

「どういたしまして」

と、私は言いました。

「飲食店でバイトでもしてるの?ホールとか?」

「いいえ?そのような経験はありません」

「へー。注文全部覚えてるから、てっきり慣れてるのかと思った」

と、ホール係の女子生徒は言いました。

注文を全て覚えていたのは、私が『新世界アンドロイド』だからです。

「とにかく助かったよ。もうこっちは大丈夫だからゆっくりして…って、言いたいところだけど」

「はい?」

「これ、さっきまでに回収した売り上げ金。数えてもらえる?」

と、ホール係の女子生徒は言いながら、お金の入ったビニール袋を差し出しました。

そういえば、私も奏さんも、会計係だったのでした。

本業はこれからですね。

「慌ただしくてごめんねー」

「いえ、お気になさらず」

と、私は言いました。

そして、お金を受け取りました。

では空き教室に戻って、お金の計算を始めましょうか…。

…と、思っていると。

「ちょっと。緋村も電波ちゃんも、何でここにいるの?」

と、湯野さんは言いました。

いつの間にか、彼女が来ていたのです。
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