アンドロイド・ニューワールドⅡ
そういえば、湯野さんもホール係担当でしたね。

かなり、おたおたしていらっしゃったと記憶しています。

そんな湯野さんが、私に何の御用でしょう。

「何故ここに…と言われましても。それは、こちらをお手伝いする為です」

と、私は言いました。

「もうお手伝いは必要なさそうなので、そろそろ帰ります」

「あんた達の役目は会計でしょ?何でここにいる訳?勝手なことしないでくれる?」

と、湯野さんは喧嘩腰で言いました。

帰ると言っているのに、何故か怒られました。

理解不能です。

すると。

「ちょっと。そんな言い方ないんじゃない?久露花さん達が手伝ってくれたから、さっきのお客さん捌けたんじゃない」

と、先程私に感謝の言葉を述べた、こちらもホール係の女子生徒は言いました。

私と奏さんを庇ってくれて、有り難いです。

しかし、湯野さんには通用しません。

「あんたは黙ってて。私はクラス委員として言ってるんだから」

と、湯野さんは言いました。

クラス委員ですか。

大量のお客さん相手に、おたおたしているクラス委員ですか。

何だか滑稽ですね。

「勝手に持ち場を離れられると、困るんだけど?」

「具体的に、何に困られたのですか?」

「屁理屈捏ねないで」

と、湯野さんは苛立ったように言いました。

私は今、何か屁理屈を言いましたか?

理解不能です。

「引っ込んでれば良いものを、偉そうにしゃしゃり出てきて…。勝手に仕切って。図々しいんだよ」

と、湯野さんは怒りを込めて言いました。

そうですか。

すると、今度は。

「そんな言い方…!瑠璃華さんが手伝ってなかったら、今頃もっとクレームが多発してたはずだ。折角手伝いに来てくれた人に、何でそんなことを言うんだよ?」

と、奏さんは言いました。

こちらも、珍しく怒ったような口調です。

「緋村は黙ってなさいよ。どうせ大したことしてない癖に」

「っ…!俺は大したことしてないかもしれないけど、でも瑠璃華さんは違うだろ」

「何よ、瑠璃華さん瑠璃華さんって、そればっか。気持ち悪い」

と、湯野さんと奏さんは口論していました。

…止めた方が良いのでしょうか?

それで、奏さんの何が気持ち悪いのでしょう?

下の名前で呼んでくださるのは、奏さんと私の友好の証です。

「よく言うわよ。実際手伝ってくれて、助けられたんじゃない」

と、更にホール係の女子生徒も、口論に加わりました。

デッドヒートマッハですね。

「あんたと、あんたのお友達のキッチン係が、調子に乗ってメニューばっか増やしたから、こんなことになってるんじゃない。メニューは五種類以下にしようって意見が出てたのに」

と、彼女は言いました。

そうだったのですか。

私と奏さんは、ハナから会計係だったので、知りませんでしたが。

最初は、そんな意見も出ていたのですね。

何故その意見を採用しなかったのか、今更ですが悔やまれます。
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