アンドロイド・ニューワールドⅡ
校門には、「第○回 私立青薔薇学園文化祭」という横断幕が飾ってありました。

とても分かりやすいですね。

まだ校門前なのに、校内が賑わっているのを、肌で感じます。

活気がありますね。

昨日、私達の星屑学園も、そうだったのでしょうか?

ほぼずっと空き教室に引きこもっていたので、外の様子は分かりませんでしたが。

もしかしたら、こんな風に賑わっていたのかもしれません。

すると。

「こんにちはー」

「こんにちはー。いらっしゃいませー」

「こんにちは!」

と、青薔薇学園の生徒らしき方々が、校門付近に立って挨拶をしていました。

来校者一人一人に、挨拶をしているようです。

とても爽やかですね。

更に、私達を驚かせたのは。

「こんにちは!青薔薇学園の文化祭へようこそ。パンフレットをどうぞ」

と、青薔薇学園の女子生徒は言いながら、私達にそれぞれ、パンフレットを一冊ずつ渡してくれました。

それだけならまだしも、驚いたのはその後です。

「校舎内には4箇所、エレベーターがあります。場所は分かりますか?ご案内しましょうか?」

と、その女子生徒は聞きました。

なんと。

彼女は、奏さんが車椅子に乗っているのを見て、エレベーターの場所を案内してくれようとしているのです。

このまさかの対応に、奏さんも目を丸くしていました。

「あ、そんな。大丈夫です。その、自分で探します」

と、奏さんは驚きのあまり、しどろもどろになりながら答えました。

すると。

「分かりました。もし何かあれば、校内に案内ボランティアが巡回していますから、その人に聞いてください。こんな…赤い腕章をつけている生徒が、ボランティアです」

と、女子生徒は笑顔で言いました。

更に、大盤振る舞いは止まりません。

「こちら、校内の地図になります。エレベーターの位置は、ここと、ここ…。あとは、ここと、ここの4箇所です」

と、女子生徒は地図を見ながら言いました。

そして、エレベーターのある位置に、マーカーで赤マルをつけてくれました。

これなら、校内でエレベーターを探して道に迷う、ということはなさそうです。

「あ、ありがとうございます…」

と、奏さんは面食らったように言いました。

「いえ!どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。楽しい一日を」

と、青薔薇学園の女子生徒は、朗らかに笑って言いました。
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