アンドロイド・ニューワールドⅡ
…女子生徒と離れ、二人で歩きながら。

「…何だか、格の違いを見せつけられた気分だよ」

と、奏さんはポツリと呟きました。

「格の違い、とは?」

「うちの学校だったら有り得ないよ、あんな対応…。車椅子で来ようと松葉杖で来ようと、あんな親切にエレベーターの場所を教えてくれたりなんかしないよ」

と、奏さんは言いました。

そうですね。そうだと思います。

そもそも、校内に設置してあるエレベーターの数が、4倍ですからね。

星屑学園は、エレベーターは本来二基ありますが。

そのうちの一基しか稼働していませんから。

その点この学園では、四基のエレベーターが稼働しているのでしょう?

もう、その時点で負けたような気分ですね。

「俺なんて、入試で星屑学園に初めて来たときでも、エレベーターの場所なんて教えてもらえなかったのに…」

と、奏さんは言いました。

そうだったのですか。

それなら、この青薔薇学園とは、本当に雲泥の差ですね。

神対応、と言っても過言ではありません。

そして、神対応なのは、あの女子生徒だけではありません。

「こんにちは!」

「こんにちはー」

「こんにちは。青薔薇学園へようこそ」

と、すれ違う生徒達は言いました。

廊下を歩いているだけで、すれ違う生徒は皆、笑顔で挨拶をしてくれます。

更に、私達に道を譲ろうと、さり気なくサッ、と廊下の端に移動してくれます。

お陰で、車椅子を押しながらでも、スムーズに進むことが出来ます。

何なのでしょうね。この対応の差は。

壊れたエレベーターすら直さない、我が星屑学園が悲しく思えてきます。

「良い学校だなぁ…。ここの生徒は皆自惚れてて自意識過剰だと思ってた、さっきまでの自分を殴りたい」

と、奏さんは言いました。

「本当ですね。見てください、この廊下。ピカピカですよ。埃一つ落ちていません」

「うん。窓のさんまで、綺麗に拭いてある。掃除も徹底してるんだなぁ」

と、私と奏さんは言いました。

他校のお掃除事情まで推測して、感心する始末です。

高校など、どれもほとんど変わらないと思っていましたが。

まさか、同じ市内にある高校同士でも、これほどまでに違っているとは。

いやはや、これは新発見です。
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