アンドロイド・ニューワールドⅡ
「奏さん。私は今、このような学校に通えている私の知アンドロイド、碧衣さんを羨ましく思いました」

「え?うん、そうだね。こんな学校に通えたら、誰だって誇らしいよ…。って言うか瑠璃華さん頭良いから、入ろうと思えば入れたんじゃ?」

と、奏さんは聞きました。

そうでしょうね。

私と碧衣さん、もし『人間交流プログラム』に参加する時期が逆だったなら。

この高校に通っていたのは、私だったでしょう。

そして碧衣さんが、星屑学園に送り込まれていたでしょうね。

もしそうだったらと思うと、きっと私の生活は、今と大きく違ったものになっていたでしょう。

…しかし。

「ですが、私はやはり、星屑学園で良かったと思っています」

と、私は言いました。

例え校舎が汚れていても。エレベーターが一基しか…ないのは、早々に改善して頂きたいですが。

それでも。

「え、何で?こんなに良い学校なのに」

「はい。でもここに、奏さんはいませんから」

「…」

と、奏さんは目をぱちくりとさせて、無言になりました。

「星屑学園に入学しなかったら、私は奏さんと親友になれていませんでした。出会うことも出来なかったでしょう」

と、私は言いました。

もしかしたら、例え私が青薔薇学園にいても、何かの縁で、巡り巡って奏さんと出会い、友人になれたかもしれませんが。

その可能性は、恐ろしく低かったことでしょう。

つまり奏さんと友人になるには、私が星屑学園に行くしかなかったのです。

そう思うと、やはり私は星屑学園に入学して良かった、と思うのです。

「だから、私はやはり、今のままで良かったです」

「…そっか。そうだね…。どちらかが青薔薇学園に来てたら、俺達一生出会えなかったかもしれないんだよね」

「はい」

「じゃあ、瑠璃華さんが星屑学園に来てくれて良かった。ここに入学しなくて良かった。…俺も、そう思うことにするよ」

「はい。そうしてください」

と、私は言いました。

もしかしたら、この学園に入学していたら、私は別の親友を、何人も得ていたかもしれません。

それは分かりません。私がどのような運命を辿ることになっていたかなんて。

でも私は現状、自分の身分に満足しています。

だから、結局のところ…これで良かったのでしょう。

あるいはただ、初めて見る隣の芝生が、予想以上に青く見えただけなのかもしれません。
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