アンドロイド・ニューワールドⅡ
『それより、瑠璃華さん』

「はい、何でしょう」

『今度、花火大会があるの知ってる?今週の土曜日』

と、奏さんは言いました。

なんと、タイムリーな話題ですね。

つい今しがた私も、この話を奏さんにする為に、電話しようと思っていたところです。

もしかして私達は、以心伝心という奴なのでしょうか。

さすがお友達ですね。

「はい、知っていますよ」

『あ、知ってたんだね。…ちなみに、行く予定はある?』

と、奏さんは尋ねました。

何故か、少し緊張しているような声に聞こえます。

気のせいでしょうか。

「はい、あります」

『そうなんだ…。その…じゃあ、えぇと…もし良かったら、俺と一緒に行ってくれないかな?』

「はい、分かりました」

『…軽…』

と、奏さんは呟きました。

軽い?何がですか?

「何か問題がありますか?」

『いや、ない。ないんだけど。…随分あっさりOKもらえたなと思って』

「そうですか。元々私、奏さんを誘おうと思っていたので」

『え、そうなの?』

「はい。花火大会の情報を、知人、いえ、知アンドロイドから聞きまして。その方に、私も友人を誘って行ったらどうか、と言われまして」

と、私は説明しました。

知アンドロイド。碧衣さんのことですね。

「私の友人と言えば奏さんですので、奏さんを誘ってみようと思った次第です」

『そうだったんだ…。良かった。花火の説明からしなきゃいけないかと思ってたよ』

と、奏さんは言いました。

「花火は知っていますよ。爆発物でしょう?」

『ぶふっ』

「どうかしましたか?」

と、私は尋ねました。

回線の状況が悪いのでしょうか。

『いや…もう、何でもない。知っているなら良いや。それに…一緒に行ってくれるんだよね?』

「はい、勿論です」

と、私は答えました。

初めから、私はそのつもりでしたから。

『良かった。じゃあ、今度の土曜日…夕方の六時に、駅前で待ち合わせで良い?』

「分かりました。必ず向かいます。オーバー」

『…うん。宜しくね、オーバー』

と、奏さんは言いました。

初めての奏さんとの通話は、こうして滞りなく終了したのでした。
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