アンドロイド・ニューワールドⅡ
待ち合わせ場所に到着しました。

奏さんは、まだ来ていません。

それにしても、まだ花火も上がっていないのに、既に人手が多くなっていますね。

中には私と同じように、浴衣姿の方もいらっしゃいます。

ただ彼女達の浴衣は、私と違って、動きにくい従来のタイプの浴衣です。

さぞや動きにくいことと思います。

彼女達も私と同じように、この新しいスタイルの浴衣を身に着ければ、動きやすいでしょうに。

何故あの方達は、このスタイルの浴衣を着ないのでしょうか?

敢えて、動きにくさを体験したい理由でもあるのでしょうか。

私には理解出来ませんね。

そういえば、碧衣さんが着用していたのも、従来タイプの浴衣でしたね。

何故敢えて動きにくい格好をするのか、今度聞いてみるとしましょう。

きっと、何か理由があるのでしょうから。

そもそも碧衣さんは、花火大会に来ているのでしょうか。

上手く、紺奈局長を誘えていると良いのですが。

などと、考えていると。

「え…え?る、瑠璃華さん…?」

と、聞き慣れた奏さんの声が聞こえました。

「奏さんですね。こんばんは」

「え、こ、こ、こんばんは…」

と、奏さんは言いました。

何故か、目が点になっています。

きっと気のせいでしょう。

「人が多いですね。やはり花火大会のせいでしょうか」

「そ…そうだね…?」

「車椅子では、きっと動きにくいと思います。しかし安心してください、奏さん。いざとなったら、私が奏さんを担いで運搬しますので」

「うん、全然安心出来ない…以前に」

と、奏さんは言いました。

以前に?

「その…格好はどうしたの?」

と、奏さんは聞きました。

今日の、私の格好について尋ねているのですね。

よくぞ聞いてくれました。

「花火大会には、浴衣が付きものだと知人、いえ知アンドロイドから聞いたので。今日は浴衣を着てみました」

「うん、それは良いと思う。良い試みだと思うよ。個人的には、俺も凄い嬉しい。でも…何で、浴衣ドレスにしたの?」

と、奏さんは尋ねました。

…浴衣ドレス?
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