アンドロイド・ニューワールドⅡ
「今頃、キッチン大忙しだろうなぁ」

と、奏さんは言いました。

「そうですね。途端に慌ただしい声が聞こえています」

と、私は言いました。

私の耳に、お隣の調理室で調理している方の声が聞こえてきます。

「それ何枚目?」

「これ4枚目!」

「そっちでは焼けないの?」

「今、こっち別のテーブルにフレンチトースト焼いてるから」

「そっちは?今何作ってる?」

「別テーブルのパンケーキ!でももう焼き上がるから、終わったらそっちヘルプ行きます!」

とのことです。

賑やかですね。

しかし、昨日、私達の喫茶店のキッチンに比べれば、統制が取れています。

慌ただしく動いてはいますが、暴言や喧嘩の声は聞こえてきませんからね。

こういうところも、星屑学園と比べてしまいます。

比べても仕方がないので、やめた方が良いのですが。

「瑠璃華さん、パンケーキ10枚も食べられるの?」

と、奏さんは尋ねました。

「はい。先程も言った通り、『新世界アンドロイド』の胃袋に限界はありません」 

「そっか…。注文したんだから、ちゃんと食べ切らないと」

「勿論です。お任せ下さい」

と、私は言いました。

ここまで、『カフェ・ブルーローズ』の店員の皆さんに、本気を出してもらったのですから。

例え消し炭が10枚、山のように積まれたとしても。

しっかり完食してみせましょう。
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