アンドロイド・ニューワールドⅡ
かなりの時間を待たされて。

しかし、それでも昨日、おたおたしていた私達の喫茶店に比べれば、断然マシですが。

ようやく、注文したパンケーキが運ばれてきました。

「大変長らくお待たせしましたっ…」

と、息の切れた様子で、店員さんは言いました。
 
重そうなお皿の上には、茶色いパンケーキのタワーが積み重なっていました。

壮観ですね。

そのあまりの光景に、他のお客さんも目を丸くしていました。

常々言っていますが、人々を驚かせるというのは、なかなか出来ることではありません。

何だか誇らしいですね。

「凄い大食い系女子だと思われてそう…。いや、実際そうなんだけど…」

と、奏さんは呟いていました。

私は大食いな訳ではなく、ただ胃袋に限界がないだけです。

「ご苦労様でした。味わって食べさせて頂きますね」

「はいっ…。こちらはお連れ様の、パンケーキ1枚です」

と、店員さんは言いながら。

奏さんの前に、ちまっと1枚だけ乗ったパンケーキのお皿を置きました。

10枚のパンケーキタワーと比べると、非常に貧弱に見えますね。

「お飲み物もどうぞ」

と、店員さんは、注文した飲み物を持ってきてくれました。

至れり尽くせりですね。

「ありがとうございます」

「いいえ。それでは、ごゆっくりどうぞ」

と、店員さんは、それでも笑顔を作って言いました。

素晴らしい接客魂ですね。

では、改めて。

「壮観だね…。どうやってナイフ入れるの?それ…」

と、奏さんは圧倒されたように聞きました。

「取皿に1枚ずつ取って食べましょう」

「あ、成程」

「ではいただきます。…もぐもぐ」

「どう?美味しい?」

「もぐもぐ…ごくん。はい、美味しいですね」

と、私は言いました。

同じパンケーキのはずですが、昨日私達が作っていた、ホットケーキミックスで作ったパンケーキより、美味しく感じます。

「奏さんも食べてみてください。昨日の私達のパンケーキより、美味しいですね」

「え、本当…?…あ、本当だ。何でだろう?」

「調理法が違うのかもしれませんね。もぐもぐ…。接客も、メニューの質も、もぐもぐ。私達より遥かに、もぐもぐ。上ですね。今更比べても、もぐもぐ。仕方ないですが。もぐもぐ」
 
「…うん。ゆっくり食べて良いからね。俺待ってるから」

と、奏さんは言いました。

気を遣ってくださって、ありがとうございます。
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