アンドロイド・ニューワールドⅡ
そうだ。

パンケーキを楽しむのも良いですが。

「オリジナルブレンドティーも試してみましょう」

と、私は言いながら、ナイフとフォークを置きました。

そして、湯気を立てるティーカップを持ち上げました。

とても良い香りです。

久露花局長が、よくチョコレートと一緒に紅茶を飲むので、紅茶の味については、私も少々舌に自信があります。

一口啜ってみますと、非常に芳醇な味と香りがしました。

ほう。これは凄いですね。

「ティーバッグではありませんね。ちゃんと、葉っぱから淹れているようです」

「え、そうなの?それは凄いね」

「はい。学生の文化祭にしては、本格的ですね」

と、私は言いました。

「奏さんのハーブティーはどうですか?」

「ちょっと待って、今飲んでみるから…。…うん、本当だ。これもティーバッグじゃないみたい」

と、奏さんも感心したように言いました。

やはり、ハーブティーも本格的なのですね。

「凄いなぁ…。俺達が昨日やってたのが、おままごとみたいに感じるよ」

と、奏さんは言いました。

悔しいですが、確かにその通りですね。

「それなのに、値段は俺達と大して変わらない…どころか、俺達の方が高かったよね。…まぁ、無駄にメニューが多かったから、そのせいなんだけど」

と、奏さんは言いました。

メニューを増やし過ぎた結果、材料費が嵩み。

その材料費を賄う為に、メニューの単価を上げずにはいられなかったのだと思います。

メニューや値段を決める場に、私達はいませんでしたから、どのような話し合いをしたのかは不明ですが。

会計係として、最終的な売り上げをまとめた身として、言わせてもらうと。

あれだけメニューをたくさん用意したというのに、結局赤字でしたからね。

勿論、不足分は学校側が出してくれるので、生徒に負担はありませんが。

学校側は、頭痛の種だったことと思います。

私が決めたことではないので、責めるならメニューを決めた湯野さん達を責めてください。

「…はぁ、美味しい…。ようやく落ち着いたよ…」

と、奏さんはホッとしたように言いました。

相槌を打ってあげたいのですが。

アイスクリームが溶ける前に、パンケーキを食べてしまいたいので。

喋っている余裕がありません。

ちなみに、現在4枚目に取り掛かっています。

飽きない味ですね。

「…パンケーキタワーも壮観だったけど、それを掃除機のように平らげてる、瑠璃華さんの姿の方が壮観だよ…」

と、奏さんは私を見ながら呟きました。

なんと。驚かせるだけではなく、感心させてしまいました。

他人を感心させるのは、驚かせる以上に大変なことです。

パンケーキを食べるだけで、誰かを感心させられるとは。

何だか、得をした気分ですね。

もぐもぐ。ごくん。
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