アンドロイド・ニューワールドⅡ
…浴衣ドレス?

これは、そういう衣装なのですか。

しかし、それの何が問題があるのでしょうか。

そういえば、さっきから道行く人々が、ちらちらとこちらを見ているのは、この衣装が原因なのでしょうか。

何か面白いものでも見えたのかと思っていたのですが、もしかして、それは私なのですか?

図らずも、人々の注目を集めてしまいました。

何事も、人から無視されることは容易くても、人から注目を集めることをするのは、なかなか難しいものです。

私は服装だけで、人からの注目を集めてしまいました。素晴らしいことですね。

「とても動きやすく、機能性のある浴衣だと思ったのですが…。何かいけませんか?」

と、私は聞きました。

「いや、うん…。悪い訳じゃない…。むしろそれはそれで、よく似合ってるとは思うんだけど…」

「けど?」

「…何だろう。滲み出るコスプレ感…」

と、奏さんは呟きました。

コスプレ。コスチュームプレイのことですね。

しかしこの場合、浴衣を着ている時点で、誰しもコスチュームプレイになるのでは?

あ、もしかして奏さんは、自分が私服だから、引け目を感じているのでしょうか?

「大丈夫ですよ、奏さん」

「え、何が?」

「私服だからといって、引け目を感じることはありません。奏さんは車椅子ですから、自分で浴衣を着るのは難しいでしょうし。気にしなくて良いんですよ」

「…ズレてる…」

と、奏さんは呟きました。

ズレてる?何がですか?

ともあれ。

「気にせず、一緒に花火大会を楽しみましょう」

「俺は気になるよ…。瑠璃華さん、怪しい人に声かけられないでね…」

「では行きましょうか。車椅子は私が押しますね」

「話を聞いてよ…」

と、奏さんは小声で呟きました。
< 25 / 467 >

この作品をシェア

pagetop