アンドロイド・ニューワールドⅡ
「…よく分かんないけど、つまり一週間学校休む、ってこと?」

と、奏さんは聞きました。

「そうですね」

「一週間たったら、また学校に帰ってくる?」

「はい。メンテナンスが終了次第、『人間交流プログラム』に戻ります」

「…あのさ、瑠璃華さん」

と、奏さんは嘆くように言いました。

「何でしょうか」

「そういうのはね、不登校とは言わないんだよ…」

と、奏さんは言いました。

え?不登校ではない?

「学校に登校しなくなることを、不登校と呼ぶのではないのですか?」

「それはそうだけど。でも一週間が終わったら帰ってくるんだから、不登校ではないでしょ。ただ一週間休むだけだよ」

と、奏さんは言いました。

そうだったのですか。

それは知りませんでした。新たな発見ですね。

「はぁ、良かった…。安心した」

と、奏さんは、ホッと胸を撫で下ろしたように言いました。

「何がですか?」

「いきなり不登校とか言い出すから…。もう学校に来なくなるのかと思って、一瞬肝を冷やしたよ」

「…私が学校に来なくなると、奏さんに何か、都合の悪いことがあるのですか?」

と、私は聞きました。

すると。

「当たり前でしょ。瑠璃華さんが学校に来なくなったら、俺にとっては大問題だよ」

と、奏さんは、少し怒ったように言いました。

何ということでしょう。親友を怒らせてしまいました。

「そうだったのですね。そうとも知らず、申し訳ありません」

「本当だよ。瑠璃華さんがいなくなったら…いなくなったら、俺は大変だ」

「…何が、どう大変なのですか?」

「それは、だって…。…今までは、瑠璃華さんがいない日常が、当たり前…だったはずなんだけどね」

「…?」

「今じゃ、もう…いなくなられたら、俺の方こそ不登校になるくらい…落ち込むよ」

と、奏さんはボソボソと言いました。

もう少しはっきりと、大きな声で言ってくれても良いのですが。

「奏さん?」

「あ、いや何でもない」

と、奏さんは慌てて言いました。

人間が「何でもない」と言うときは、大抵何かがあります。

詳しく詮索しようとしましたが、その前に。

「あ、そうだ瑠璃華さん。その…。先生にはそれ、何て言ったの?」

と、奏さんは慌てた様子で聞きました。

先生?
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