アンドロイド・ニューワールドⅡ
私の記憶によると。

三日前は、ベイクドチーズケーキ。

二日前は、スフレチーズケーキ。

昨日は、レアチーズケーキ。

そして今日は、バスクチーズケーキでした。

多分明日は、ニューヨークチーズケーキですね。

もしかしたら琥珀さんは、チーズケーキが好きなのかもしれません。

あるいは、彼女が作ることが出来るお菓子がチーズケーキだけなのか。

彼女の持っているレシピが、『猿でも分かる!チーズケーキの作り方』である可能性もあります。

しかし問題は、そこではありません。

琥珀さんが毎日、飽きもせず、凝りもせず、手作りのお菓子を作ってくる点です。

必死に毎日「作ってこなくて良い」と言い続けている奏さんですが。

琥珀さんはしれっとして、「これは私の趣味ですから」の一点張りです。

そして、そのチーズケーキを作るのにかかった手間や、消費期限の話をしては、奏さんが食べざるを得ないように持っていきます。

非常に姑息な手段と言わざるを得ません。

そう言われては、断るに断れませんから。

ましてや奏さんは、基本的に押しに弱い方なので。

今のところ、毎日何だかんだ言いくるめられ、琥珀さんのチーズケーキを口にしています。

そのせいで、琥珀さんも毎日調子に、そして図に乗るのだと思います。

学校だけではありません。

休日も、琥珀さんの魔の手が伸びているそうです。

奏さんの住んでいる施設を知っている琥珀さんは、予告なしに奏さんのもとを訪ね。

奏さんを外出に誘ったり、それを断ると、ならばとばかりに、その場で奏さんとお喋りして帰ったそうです。

断られても、ただでは帰らない不屈の精神を感じます。

とにかく、私が言いたいのは。

琥珀さんが、『人間交流プログラム』の為に星屑学園に来てからというもの。

琥珀さんは、奏さんの周りをうろちょろうろちょろ、追いかけ回しているということです。

これは、非常にうっとうし、いえ、厄介なことです。
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