アンドロイド・ニューワールドⅡ
「私の何処が、何が卑怯だと言うのですか?」

と、琥珀さんは聞きました。
 
険しい表情です。

「自分のクラスメイトと友人関係を築くことを放棄して、奏さんにつきまとうことが、です」

「それの何が卑怯なのですか?私が誰と友人関係になろうと、あなたには関係ありません」

「そうですね。しかし、あなたは私より優秀だとか何とか言いながら、結局琥珀さんが今していることは、私の後追いではありませんか」

と、私は言いました。

「…後追い?どういうことですか?」

「奏さんは、私達『新世界アンドロイド』とも仲良くしてくれる。それが分かってるから、あなたはハナから、他の人ではなく、奏さんに声をかけたのでしょう?」

「…」

と、琥珀さんは黙りました。

奏さんは、私達『新世界アンドロイド』にも優しくしてくださる方です。

広い心を持って、アンドロイドと友人になってくれる方です。

それを発見したのは私であり、その情報は、橙乃局長から事前に知らされていたことなのでしょう。

つまり琥珀さんは、自分と友人になってくれるかもしれない人を、自分で探すことを放棄し。

声をかければ、必ず無下にはされないと分かっている相手と、つまり奏さんのことですね。

その奏さんと、友人関係を築こうとしています。

それは卑怯ではありませんか。

「…私が誰と友人関係を築こうと、瑠璃華さんには関係ないと、何度も言っています」

と、琥珀さんは苦し紛れに言いました。

「そうですね、その通りです。しかし、私の後追い紛いの行為をしているあなたが、私より優秀だとは、とても思えませんね」

と、私は言いました。

何でしょう。

何だか、何かに勝利した気分です。

何の試合も勝負もしていないのに、です。

すると。

「ちょ、ちょっと二人共、落ち着こう。ね、お願いだから」

と、奏さんが割って入りました。
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