アンドロイド・ニューワールドⅡ
…。

「私は冷静です」

「私も冷静です」

と、私と琥珀さんは言いました。

「いや、二人共全然冷静じゃないから。物凄く火花散ってるから」

と、奏さんは言いました。

火花?

そんなものが何処に散っていたのですか?

火花は危険ですよ。引火したら大変です。

「喧嘩はやめて。今日は…今日のところは、三人でバドミントンしよう」

と、奏さんは言いました。

奏さんなりの、折衷案を提示したつもりなのでしょうが。

何だか、納得が行きません。

何故、琥珀さんまで混じらなければいけないのですか。

「仲良くしよう、仲良く。二人共従姉妹なんでしょ?従姉妹同士で喧嘩は良くない」

と、奏さんは言いました。

「従姉妹…?私と瑠璃華さんは、従姉妹などという関係ではありまけん。彼女は他局のアンドロイドです。私とは無関係…」

「うん、そうだね分かった。でも仲良くしよう」

と、奏さんは諭すように言いました。

「それに、バドミントンという競技は、三人では出来ません」

「三人で輪になって、順番にシャトルを回していこう。たまにはそういうのも面白いよ」

と、奏さんは言いました。

どうしても、三人でバドミントンを行うという意見を曲げないようです。

…私としては、「悪いけど琥珀さんは帰ってくれる」くらい、言って欲しかったのですが。

これが、奏さんなりの妥協案ですか。

奏さんは、もっとビシッと、バシッと他人に意見した方が良いと思います。

お人好し過ぎます。

しかし、親友である奏さんが、そう言うのであれば。

私は彼の顔を立てましょう。

親友ですからね。

「…分かりました。奏さんの仰る通りにしましょう」

と、私は言いました。

かくして。

私は、奏さんと、琥珀さんの三人で、その日の放課後を過ごすことになりました。
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