アンドロイド・ニューワールドⅡ
「メンバーを追加…ですか?」

『そうそう。そうするとほら、男女比率が良くなるよ』

と、久露花局長は言いました。

成程、一理ありますね。

現状、参加者は三人。

その中で、男は奏さん一人だけです。

まぁ私と琥珀さんは『新世界アンドロイド』ですから。厳密には、性別はないのですけど。

一応二人共、学校では女子生徒として通っているので、奏さんにとっては私も琥珀さんも、女子扱いですね。

そこに男性をもう一人呼ぶことによって、男女比率を公平にする。

それ自体は、良い考えだと思うのですが…。

「…」

『ん?どうしたの瑠璃華ちゃん。他のメンバーを呼ぶのは、気が進まない?』

と、局長は尋ねました。

いえ、そういう訳ではないのですが。

「しかし、局長が来てしまうと…折角のクリスマスが、ただのつまらないスイーツパーティーになってしまうでしょう?三人で局長に気を遣いながらクリスマス会なんて、想像しただけで地獄です」

『うん、成程。言っておくけど瑠璃華ちゃん、参加するのは私じゃないからね』

と、久露花局長は真顔で言いました。

え、そうなのですか?

『そして、瑠璃華ちゃんが私のことをどう思ってるのか、よーく分かったよ』

「そうですか」

『…泣きそう』

「どうぞ」

と、私は言いました。

涙を我慢することはありません。存分に流してください。

「泣きながらで良いので、教えてください。局長でないのなら、他に誰を招くのですか?」

『泣きながらは教えないよ…。普通に教えるよ』

「では普通に教えてください」

『碧衣君だよ、碧衣君。瑠璃華ちゃんとも琥珀ちゃんとも、それに奏君も会ったことあるし、適任じゃないかな』

と、久露花局長は言いました。

成程、もう一人のメンバーとは、碧衣さんのことだったのですね。

『碧衣君も、学校が違うとはいえ、同じ高校生だし。良いんじゃないかな?…勿論、碧衣君がOKしてくれれば、だけど』

と、局長は言いました。

碧衣さんですか…。私は構いませんが、碧衣さんが来てくれるかどうかは、怪しいところですね。

何せ。

「前会ったとき、碧衣さんは琥珀さんと一触即発の状態でしたから。琥珀さんが参加していると聞いたら、碧衣さんはお断りするかもしれませんね」

と、私は言いました。

碧衣さんは現在、琥珀さんと喧嘩別れ状態ですから。

そのような相手と、仲良くクリスマス会に参加したいと思うでしょうか?

いかに彼が、紺奈局長以外の人物はどうでも良いと思っていようと。

『それはあるかも…。でも、だからこそだよ。これを機に、仲直りしたら良いんじゃないかな』

と、久露花局長は言いました。

この方は、相変わらずの平和主義者ですね。

どんなに喧嘩しても、仲が悪くとも。

手を取り合い、共にお菓子を食べ合えば、誰とでも分かり合えると、素でそう思っています。

そういう考えは、悪くはないと思うのですが。

非常に楽観的であると言わざるを得ません。
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