アンドロイド・ニューワールドⅡ
碧衣さんの、クリスマスメニューの後は。

「では、次は瑠璃華先輩の持ってきた、3種のクリスマススイーツを食べましょうか」

と、琥珀さんは言いました。

そうですね。

食事の後はデザートを食べなければいけないと、憲法に書いてある、と。

いつだったか、久露花局長が真顔で言っていました。

ただ、何処の国の憲法にそう書いてあるのかは、知りません。

私の知る限りでは、そのような国は見つからないので。

きっと久露花局長は、私も知り得ないほど小国のお生まれなのでしょう。

「ブッシュ・ド・ノエルとジンジャークッキーとシュトーレンでしたっけ」

「はい。久露花局長厳選の、クリスマススイーツで…」

「…うん。ちょっと待った。水差してごめんね」

と、奏さんがストップをかけました。

何事でしょう。

「どうしましたか、奏さん」

「三人共、盛り上がってるところ申し訳ないんだけど…」

と、奏さんは言いました。

私達今、盛り上がっていましたか?

普通に会話していただけだと思うのですが。

「ごめん。今ちょっと、お腹いっぱいだから…。デザートの方は、もうちょっと後にしてもらって良いかな…?」

と、奏さんは申し訳無さそうに頼みました。

成程、それは大変ですね。

『新世界アンドロイド』と違って、人間には満腹感があるのでしたね。

失念していました。

ん?しかしその割には、久露花局長は、デザートなら際限なく、いくらでも食べていますね。

もしかしたら久露花局長は、牛のように胃が複数あるのかもしれません。

便利ですね。

それはさておき。

「そういうことなら、仕方ありませんね。もう少し後にしましょう」

「分かりました。それで良いですよ」

「人間って不便ですね。食べられる量が決まってるなんて」

「うん…君達は無限の胃袋で、羨ましいよ」

と、奏さんは言いました。

では、クリスマススイーツは後のお楽しみということで。

別のことをしましょう。

「それでは、これから何をしましょうか?」

「それは決まってますよ。折角のクリスマス会。メインイベントを始めましょう?」

と、碧衣さんは提案しました。

クリスマス会のメインイベント…。

「…コスチュームプレイ大会ですか?」

「…瑠璃華さんは、コスプレがメインイベントだと思ってたの…?」

「いえ、何となく」

と、私は答えました。

「そうじゃなくて…。メインイベントと言えば、プレゼント交換でしょ。合ってる?碧衣さん」

「正解です、奏さん。さすが分かってますね〜」

と、碧衣さんは言いました。

成程、プレゼント交換ですか。

それは楽しそうですね。
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