アンドロイド・ニューワールドⅡ
「私のプレゼントですね。分かりました。どうぞ、奏さん。お納めください」

「ありがとう、瑠璃華さ…。って、なんかデカッ!?」

と、奏さんは驚きました。

私のプレゼントは、奏さんの車椅子ほどの高さもあるものです。

やはり世の中、大は小を兼ねると言いますし。

色々種類があって、悩んだのですが。

少しでも大きくて、デザインも素敵なものを選びました。

これなら、奏さんも喜んでくれること、間違いなしですね。

「どうぞ、奏さん」

「あ、ありがとう…。一番瑠璃華さんのプレゼントが欲しいって、めちゃくちゃ念じながらくじ引いたら、本当に瑠璃華さんのプレゼントが回ってきて、凄く嬉しいんだけど…」

と、奏さんは言いました。

奏さんは、私のプレゼントが欲しかったのですか?

何故でしょう。私がこの中で、一番プレゼント選択のセンスがあると思われていたのでしょうか?

それは光栄ですね。

「…でも、何だか今、ちょっとそのことを後悔してるよ」

「はい?」

「いや、何でもない。瑠璃華さんのプレゼント、瑠璃華さんのプレゼントなんだから。俺は何でも嬉しいよ」

と、奏さんは笑顔で言いました。

何だか、奏さんの笑顔が歪なような気がするのですが。

きっと、私の気のせいでしょう。

「えっと、開けてみても良い?」

と、奏さんは聞きました。

「勿論、構いませんよ。どうぞ」

「ありがとう。瑠璃華さんのプレゼント、何なんだろうな…」

と、奏さんは言いながら、包装紙を剥がし始めました。

「かなり大きいですね。あの大きさ…ゴルフバッグでしょうか?」

「いや、ゴルフバッグにしては柔らかそうじゃないですか?羊の皮とか?」

「…物騒な予想だな…」

と、琥珀さんと碧衣さんの予想に、奏さんは呟きました。

残念ながら、ゴルフバッグでも、羊の皮でもありません。

もっと良いものです。

「お、開いた開いた。中身は何…」

と、奏さんは言いながら、固まりました。

「どうでしょう、奏さん。誰もが喜んでくれること間違いなしのプレゼントを、選んでみました」

「…これ何?」

と、奏さんは、プレゼントを見下ろして聞きました。

よくぞ聞いてくれました。

「それは見ての通り、グソクムシの抱き枕です」

と、私は胸を張って答えました。

本来、グソクムシは全長50センチほどしかない生き物ですが。

その抱き枕は、100センチほどの大きさに設計されています。

大きなグソクムシに、抱きついて眠る。

人間である奏さんに、きっと快適な眠りを授けてくださることでしょう。
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