アンドロイド・ニューワールドⅡ
「悔しい?何のことですか?」

「いいえ?誰だって、好きな人のプレゼントをもらいたいと思うでしょうから」

「…」

「奏さんは瑠璃華さんのプレゼントを、瑠璃華さんは奏さんのプレゼントを、お互い欲しがっていたんじゃないかと思いまして」

「…?」

「琥珀さんに、嫉妬してないんですか?」

と、碧衣さんは聞きました。

琥珀さんに、嫉妬?

それは、かつてはしていましたが。

今は、何とも…。

…。

…何ともありませんよ?

誰が誰のプレゼントを手にしようと、それこそお天道様の気まぐれです。

「私は、何も気にしていません。誰からのプレゼントでも、何でも結構です」

「そうですか」

「碧衣さんが何を言っているのか、理解不能です」

「いつか分かりますよ。きっとね」

と、碧衣さんは言いました。

碧衣さんには分かって、私には分からないものがあるのですか。

仕方ありません。碧衣さんは、『人間交流プログラム』において、私より先輩ですし。

私よりも、多くの感情を知っている方ですから。

…しかし、でも。

碧衣さんが言っていることの意味を、私はこのとき、知りたくて堪りませんでした。

教えられて理解出来るものではないと、分かっていても。
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