アンドロイド・ニューワールドⅡ
そして、最後に。

私へのプレゼントですが、選択肢はありません。

くじ引きをする必要もありません。

最後に残っているのは、一つだけです。

「どうぞ、瑠璃華先輩。私からのクリスマスプレゼントです」

と、琥珀さんはご自分の用意したプレゼントを、私に渡してくれました。

「ありがとうございます」

と、私は受け取りました。

先程のプレゼントを見ているが故に、何だか不穏なものを感じずにはいられませんが。

心配は必要ありません。

皆さん、相手が喜ぶものをプレゼントしてくださっていますから。

碧衣さんは…碧衣さんなりに、相手が喜ぶと確信して、手塩にかけて紺奈局長グッズを作ってくれたのでしょうし。

その気持ちは、有り難く受け取らなければいけませんね。

まぁ、彼の場合、自分の思いを自分で受け取っていらっしゃいますが。

それはそれとして。

「琥珀さんのプレゼント、開けても良いですか?」

「勿論です。どうぞ」

と、琥珀さんは言いました。

では、開けてみましょうか。

べりべり。

何だか、厚みのある固い何かが入っていますね。

包装紙を開けて、出てきたのは。

「…これは、本ですか?」

「本ですね」

と、琥珀さんは答えました。

プレゼントに本とは。なかなか気の利いたプレゼントですね。

「瑠璃華さん、それ何の本だったの?」

と、奏さんは聞きました。

おっと。私も確認していませんでした。

本なら何でも好きなので、何でも嬉しいですが。

既に持っている本や、読んだことのある本でしたら、喜びも半減ですね。

琥珀さんがくれた本のタイトルは。

『猿でも分かる!クリスマスプレゼントの選び方』。

成程、そう来ましたか。

「…クリスマスプレゼントの選び方の本を、クリスマスプレゼントに選ぶって…」

と、奏さんはポカンとして呟いていました。

が。

「良いセンスですね、琥珀さん」

と、私は言いました。

「え?瑠璃華さん正気なの?」

と、奏さんは相変わらず、ポカンとしたまま聞きました。

私はいつだって正気です。ご心配なさらなくても。

「そうでしょう?誰でも喜んでもらえて、かつ実用的な本を選びました」

「はい、とても参考になります。ありがとうございます」

「どういたしまして」

と、琥珀さんは自信たっぷりに言いました。

とても素敵なプレゼント交換でしたね。

これぞ、クリスマス会です。

「…駄目だ…。アンドロイドに、クリスマスプレゼントを選ばせたら駄目だ…」

と、奏さんは一人、遠い目で呟いていましたが。

きっと気のせいでしょう。
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