アンドロイド・ニューワールドⅡ
…クリスマス会も、無事に終わり。

琥珀さんのマンションの前で、お別れした私は。

奏さんを施設まで送る為、奏さんの車椅子を押していました。

「何だか、あっという間に終わりましたね」

と、私は言いました。

「そうだね。楽しかったから、あっという間だったよ」

と、奏さんも言いました。

アンドロイド三人と人間一人の、異色のクリスマス会は、無事に成功したということで。

人類の大きな第一歩ですね。

でも。

「何だか誤解してしまいそうですが、クリスマスは明日なんですよね。今日はあくまで、クリスマスイブであって」

と、私は言いました。

「碧衣さんなんて、クリスマス本番の明日は、クラスメイトの彼女とデートだそうです」

「えっ…あの人、局長に一途なんじゃなかったの?」

「パフォーマンスで付き合っている女性がいるそうですから、その方と」

「…犯罪者だよ、彼は…」

と、奏さんは呟きました。

どういう意味でしょうか。

「…でも、羨ましい」

「え?何がですか?」

「…いや、何でもない…」

と、奏さんは小声で言いました。

…どうしたのでしょう。奏さん、先程から何か言いたそうなのですが。

肝心の、何が言いたいのかが分かりません。

「…奏さん、何だか、ずっともごもごしていらっしゃるようですが」

「う」

「思っていることがあるなら、口に出しても良いと思いますよ」

と、私は言いました。

思ったことは何でも言え、とまでは言いませんが。

言わずに後悔するくらいなら、言ってしまった方が楽ですよ。

特に人間は、ストレスを溜め込むと良くないそうですし。

「そうだね…。瑠璃華さんの言う通りだと思う」

「はい」

「…イブに会えたんだから、それで満足しようと思ってたけど…。やっぱり、後悔しそうだから…言うだけ、言ってみるよ」 

「はい。頑張ってください」

と、私は言いました。

すると。

「…あのさ、瑠璃華さん。明日、クリスマス…一緒に、出掛けない?」

と、奏さんは私を振り返って言いました。
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