アンドロイド・ニューワールドⅡ
第14章
「…」

と、私はしばし無言になってしまいました。

返答に窮した訳ではありません。

ただ、それを尋ねたときの、奏さんの顔が。

「…顔、真っ赤ですよ」

と、私は言いました。

これを、茹でダコのような顔、と言うのでしょうね。

何故いきなり、それほど顔が赤くなるのでしょう。

「え?あ、うん、それはもう…お恥ずかしい限りで…」

と、奏さんはもごもごと言いました。

いえ、別に赤面することそのものは、恥ずかしいことではありません。

ただ、奏さんがどうして赤面しているのか、その原因が気になるというだけで。

「…もしかして、身体が冷えました?熱があります?」

「え?いやそんなことは…」

「ですが、いきなりそれほど顔が赤くなるということは、体調を崩しているのでは?」

と、私は聞きました。

人間は、『新世界アンドロイド』よりも非常に脆い生き物ですから。

体調が悪いのなら、無理をしてはいけません。

「そ、そうじゃなくて、俺はただ…」

と、奏さんは言いかけました。

が。

「ちょっと失礼します」

「うわっ、る、瑠璃華さん!?」

と、奏さんは素っ頓狂な声をあげました。

私は大したことはしていません。

ただ、奏さんの正面に回って、私と奏さんの額同士を、コツンとぶつけ合わせただけです。
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