アンドロイド・ニューワールドⅡ
そして、奏さんが待ち焦がれていた翌日。

私は、約束通り奏さんをお迎えに上がりました。

奏さんは、施設のグリーンの門の前で待っていました。

どうやら、待たせてしまったようです。

「こんにちは、瑠璃華さん」

「こんにちは、奏さん」

と、私と奏さんは、互いに挨拶を交わしました。

今日は奏さん、準備万端で待っていてくださったのですね。

「寒くありませんでしたか?」

と、私は尋ねました。

「うん、ちゃんと厚着してきたから」

「そうですか」

と、私は答えました。

空は、既に暗くなっていますからね。

気温もかなり下がっています。

『新世界アンドロイド』は、体温調節機能がついているので、北極にいようと、火山の中にいようと、暑くも寒くもないのですが。

奏さんは人間ですからね。

寒かったら、風邪を引く恐れがあります。

充分に用心しておくべきでしょう。

「では、行きましょうか」

「あ、ちょっと待って。その前に」

と、奏さんは言いました。

…?

「何でしょうか」

「瑠璃華さんに、渡したいものがあるんだ」

と、奏さんは言いました。
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