アンドロイド・ニューワールドⅡ
更に、光っているのは木だけではありません。

電柱やガードレールにも、ピカピカと電飾が光っており。

電飾のアーチや、花壇など、とにかくこの一角の全てが、きらきら光っていました。

何だか、目がチカチカしそうですね。

奏さんは大丈夫でしょうか。

「うわー…。綺麗…」

と、奏さんは呟きました。

大丈夫そうですね。

むしろ、この装飾を楽しんでいるようです。

「これがイルミネーション、というものなのですね」

「瑠璃華さん、イルミネーション見るのは初めて?」

「初めてですね。奏さんは、前にも見たことがあるのですか?」

と、私は尋ねました。

「うん。昔、両親が生きてた頃…連れてきてもらったことがある」

と、奏さんは答えました。

そうでしたか。

花火大会のときも、同じような会話をしましたね。

「奏さんのご両親は、奏さんをよく色々な行楽地に連れて行ってくださったのですね」

「よく…ってほどでもないけど。でも、今となっては、そういう思い出ばかりが残ってるから…それで余計、印象に残ってるのかも」

と、奏さんは言いました。

「だからこそ、こういうところに来ると…両親が死んだことを思い出して、辛くなるから…行かないようにしてたんだよね」

と、奏さんは続けて言いました。

え、そうなのですか?

「じゃあ、今日も辛いのですか?」

と、私は聞きました。

もしかして、無理して来ているのですか?

だとしたら、今すぐ踵を返して帰りましょう。

別の場所に行きましょう。

何処が良いですかね。回転寿司とか?

しかし。

「いや、今日は大丈夫だよ」

と、奏さんは言いました。

「大丈夫なのですか?」

「うん、大丈夫。今日に限らず…瑠璃華さんと一緒なら、何処でも大丈夫だよ」

と、奏さんは言いました。

そうですか。

何故、私と一緒なら大丈夫なのかは分かりませんが。

「無理をなさっている訳ではないのですね?」

「うん。むしろ楽しい」

「それなら良かったです」

と、私は言いました。

すると。

「…瑠璃華さんで上書きしてるんだよ、俺は」

と、奏さんは小声で言いました。
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