アンドロイド・ニューワールドⅡ
おまけに。

「げほっ…げほっ、げほっ」

と、奏さんは咳き込んできます。

そんなに驚いたのですか。

私達はお参りを終えて、境内から離れました。

人の邪魔になりますからね。

境内から離れて、改めて。

「大丈夫ですか、奏さん」

「う、うん。それより…な、何…?今の願い事…」

と、奏さんは聞きました。

奏さんも、私の願い事を聞いていたのですね。

私も奏さんの願い事を聞いてしまったのですから、お互い様ですね。

「いえ。折角ですから、壮大な夢を叶えたいと思いまして」

「…壮大過ぎるでしょ…」

と、奏さんは呟きました。

目標というものは、いくら小さくても構いませんが。

夢は、大きければ大きいほど良いですよ。

見るだけは自由ですからね。

「それに、私が神に匹敵する力を持つことが出来れば、ここにいる皆さんは、わざわざ元旦に神社にお参りせずとも、私に相談してくだされば、それで解決します」

「…凄い発想だなぁ…」

「奏さんのお願い事も、私が叶えて差し上げますよ」

「それは頼もしいね。…じゃあ瑠璃華さんに、そんな不思議な力が宿ることがあったら…俺、瑠璃華さんにお願い事するよ」

と、奏さんは苦笑いしながら言いました。

「畏まりました。お任せください」

「はい、お願いします」

と、奏さんは言いました。

奏さんのお願い、先程聞きましたけど。

あれなら、神に祈らずとも、私に言ってくだされば、私が叶えて差し上げられますよね。

「それで、瑠璃華さん」

「はい、早速お願い事ですか?」

「いや、お願い事ではないけど…。甘酒、飲んで帰る?」

と、奏さんは聞きました。

甘酒?

あぁ、そういえば。

初詣の日に、無料で甘酒を配布している神社があるんですよね。

この神社も、その甘酒無料キャンペーンを行っているようです。

一杯だけとはいえ、お酒を無料で配布するとは、とても太っ腹ですね。

お正月だからでしょうか。

「良いですよ。あちらも行列ですが…。折角ですから、飲んでいきましょう」

「うん、そうしよう」

と、奏さんは頷きました。
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