アンドロイド・ニューワールドⅡ
二人で、甘酒の行列に並びまして。

私達は、無事に紙コップ一杯の甘酒を頂きました。

ありがとうございます。有り難く頂きます。

「ふー、あったかい…生き返るなぁ」

と、奏さんはしみじみと言いました。

死んでたのですか?先程まで。

全然気づきませんでした。申し訳ありません。

「瑠璃華さん、甘酒は飲んだことある?」

「いえ、初めての経験ですね」

と、私は言いました。

甘酒と言うからには、甘いお酒なのでしょうね。

これ、原材料は何なのでしょう。

「そっか、美味しいよ。飲んでみて」

「はい、頂きます」

と、私は甘酒を啜りました。

とても独特な匂いがしますね。

普通のお酒よりも、鼻につく強烈な匂いです。

口をつけてみますと、成程、本当に甘いです。

さすが、甘酒と言うだけのことはありますね。

「甘酒って、結構好き嫌い分かれる印象あるけど…瑠璃華さんは大丈夫?」

「はい、平気です」

「それなら良かったよ」

と、奏さんは微笑んで言いました。

匂いには驚きましたが、味は悪くありません。

しかし、一つ欠点があるとするなら。

「…これって、アルコール度数、物凄く低いですね」

と、私は言いました。

「え?それはそうでしょ。ほぼ0%なんじゃない?子供も妊婦さんも飲むんだし…」

と、奏さんは当たり前のように言いました。

そうなのですか。

誰でも飲めるお酒、というのが、この甘酒のコンセプトなのでしょうね。

それで、敢えてアルコールを飛ばしているのでしょう。

それは理解しましたが、しかし残念です。

「アルコール度数は、20%くらいはないと…何だか、お酒を飲んだ気がしませんよね」

「…うん。お正月から警察のお世話になるのは嫌だからね。今のは聞かなかったことにするよ」

と、奏さんは笑顔で言いました。

何故聞かなかったことにするのですか。

何だか、甘酒だけでは物足りないので。

家に帰ったら、改めて飲み直すことにしましょう。
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